ヘレウス(株)は、自動車用途を主とする樹脂部品の溶着治具メーカーであるヤマウチ精機(株)と共に、自動車部品の軽量化に貢献する赤外線プラスチック熱溶着技術を確立し、赤外線熱溶着治具を開発し、国内での販売を開始した。

 自動車産業では、二酸化炭素の排出削減のため燃費を向上する様々な技術が開発されている。その手段として、自動車の軽量化につながる材料の応用技術開発が精力的に行われている。主な部材である、金属の代替技術として注目されているのが樹脂だが、それには接合技術が欠かせない。接合方法には、一般的に機械、接着剤、溶着の3つあり、そのうちの一つである溶着方法には樹脂部品の加熱が必要となる。さらに、その溶着方法の中でも、振動、超音波、熱の3つの主な方法がある。

 今回開発した製品は、熱溶着方式を採用しており、加熱に赤外線ヒーターを用いる。上下あるいは左右に配置された樹脂部品の端面を赤外線ヒーターで輻射加熱する。その後、部品を加圧し、溶着する(図1、2参照)。赤外線ヒーターの特長である早い立ち上りおよび立ち下り性能を生かし、プロセス前の予熱は不要。

【製品の特長】

1. 非接触加熱によるクリーンな方法

 赤外線ヒーターは、加熱対象物に照射され吸収されたエネルギーすべてが、赤外線光エネルギーとして加熱対象物に届く。樹脂部品に接触することなく、溶着する。静止状態で加熱するため、樹脂粒子 のくずなどの発生がなく、溶着後の仕上がり品質が向上する。一方、他の溶着方式、例えば振動溶着では、樹脂部品に摩擦熱を起こしそれを溶着するため、摩擦による樹脂の擦りくずが発生し、溶着後の清掃が不可欠となっていた。また溶着端面の仕上がりに行うことができ、意匠性の高い樹脂部品にも用いることが可能になる。

2. 接合強度と耐圧性

 同製品を用いてプラスチック部品を溶着する場合、その端面を溶かし圧着する。溶かす面は、厚み縦方向の深部に及ぶため、表面部分ではなく深い部分での溶着となり、確かな強度を得ることができる」。ドイツ 本社の保有する圧力タンクへの導入事例では、元々熱板を用いて約10バールという圧力に耐えられるように溶着されていたのに対し、赤外線熱溶着技術を用いたところ、溶着後の破裂試験では、約28バールの耐圧性があったという報告がある(図 3 参照)。

3. 生産プロセスのエネルギー効率化

 赤外線ヒーターは、立ち上りおよび立ち下りの高い性能に加えて、制御性にも優れている。溶着プロセス中における赤外線ヒーターの点灯は、必要な時のみで、端面の加熱後は、速やかにヒーターを消灯する。このため、エネルギーの使用に無駄がなく、タクト運転に適している。さらに、プロセス中に赤外線光エネルギーの出力を制御できるため、ステップ運転にも非常に適している。溶着する材料に依存するが、赤外線ヒーターの点灯は数十秒間程度となっている。

4. 治具の溶着機械への容易な取付け

 同製品は、大型な溶着機械そのものではなく、いわばその心臓部に相当するもの。赤外線以外の熱溶着の手法で、毛ばり、くずなどの課題を抱えているユーザーは、機械に取り付けられている治具を同製品に交換するだけで課題を解決でき、高額な溶着機械の投資は不要となる。

本技術の応用材料は、熱可塑性プラスチックをはじめ、がラス繊維プラスチック、その他高融点および低粘度物質、発泡材などにも及ぶ。同社およびヤマウチ精機では、同製品が、現在他の溶着技術を適用しているユーザーのおおよそ3割に適するスマートなソリューションであると考えている。また今後、自動車の軽量化技術開発がますます進展するなか、両社は同製品が自動車などに用いられるプラスチック 製部品の溶着を容易にし、生産工程の効率化に寄与するものと確信。ユーザーへの提案を積極的に行い、自動車の軽量化にプロセス技術面で貢献していく。

 ヘレウスおよびヤマウチでは、同製品を、平成 30 年 1 月 17 日(水)から 1 月 19 日(金)まで東京ビッグサイトで開催される第8回クルマの軽量化技術展において展示し、紹介する。

*毛ばり: 溶着後、プラスチックの端面に残る材料のこと。

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 溶着治具のイメージ。

 2分割された樹脂部品の間に設置され、

 それらの端面を加熱している様子。

 

 

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赤外線熱溶着プロセスのイメージ。

プラスチックの端面を赤外線ヒーターで輻射加熱し(写真左、中央)、加圧、溶着している(写真右)様子。

 

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ガラス繊維強化プラスチック製高圧タンクの赤外線熱溶着の事例。

破裂試験では、約10バールという目標に対し、最高 28バールを達成している。

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