帝人フロンティア(株)は、超極細繊維「ナノフロント」を使用することにより、研磨パッドの製造において品質の安定とコスト削減の両立を実現する研磨パッドを開発した。
 近年、スマートフォンやEVなどの普及に伴い、半導体の高性能化や低価格化を図るため、シリコンウエハーの製造における品質の安定およびコスト削減のニーズが一層高まっている。
 シリコンウエハーに求められる主な品質特性は、表面にナノメートルレベルの配線を作成するための平坦性と、衝撃によるシリコン結晶の破損防止を目的とする表面の鏡面性だが、現状、これらの品質特性を発現させるためには、異なる硬度のパッドを使用した研磨作業が必要であり、そのために工程が複数にわたらざるを得なかった。
 また、シリコンウエハーの製造に使用する砥粒(研磨材の粒子)の研磨液が製造コストの中で大きな割合を占めることから、研磨品質を維持しつつ、砥粒研磨液の使用量を削減することが課題となっている。
 こうした中、帝人フロンティアは独自の製糸技術で製造した超極細繊維「ナノフロント」を使用することで、シリコンウエハーの品質安定と、研磨工程の短縮および砥粒研磨液の使用量削減による製造コスト削減を両立する研磨パッドの開発に成功した。
 今回開発した研磨パッドは、柔軟性と吸水性を持つポリマーを原料として製造した「ナノフロント」の不織布にポリウレタン樹脂を含浸させたもので、次の特長を有している。
(1)パッド部分に吸水性ポリマーを使用した「ナノフロント」を使用しているため、表面に吸水性があり、繊維間の空隙数が多いことから、パッドの表面が砥粒の付着性と砥粒研磨液の保持性に優れている。
(2)これにより、研磨液の砥粒濃度を下げても、パッドに高い密度で砥粒が付着するため、充分な研磨効率を発揮する。
(3)柔軟性があるため、シリコンウエハーの鏡面仕上げも同時に行うことができる。
(4)「ナノフロント」を使用した不織布は表面積が非常に広いため、液中の砥粒の凝集を抑制する効果があり、研磨品質の安定化に寄与する。
 開発した研磨パッドは、半導体メーカーおよびフラットパネルディスプレイメーカーをターゲットとして2019年度中に販売を開始し、2025年度に売上10億円を目指す。
 今後さらに、「ナノフロント」のポリマーの種類や、ポリウレタンの含浸技術、研磨液との相乗効果などに着目しながら、様々な市場ニーズに対応すべく、研磨パッドの製品バリエーションを拡大していく。