(株)アルバックは、パワーデバイス向け極薄ウェーハ対応・低加速イオン注入装置および高加速イオン注入装置の「SOPHI(ソフィ)」シリーズ2機種を開発、販売を開始した。
 自動車・鉄道車両、家電市場等で需要が高まっているパワーデバイスはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)をはじめ、SiC(Silicon Carbide)、GaN(Gallium Nitride:窒化ガリウム)等、多種の技術開発が進んでいる。
 アルバックでは、各種パワーデバイス向けにラインアップを揃えているが、このたびIGBT向けイオン注入装置として2機種を開発し追加発売を開始した。近年IGBTでは駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化の特性向上要求やモジュールの小型化のためIGBTとダイオードを1チップ化する製品(RC-IGBT)*1で、低加速・高濃度のイオン注入工程での生産性改善が求められている。
 低加速・高濃度処理での生産性を大幅に向上させ処理時間を同社比で1/60に削減した低加速高濃度対応イオン注入装置「SOPHI-30」および、駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化を改善、加速電圧2.4MeVまで可能な高加速イオン注入装置「SOPHI-400」を開発し、販売を開始した。
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<低加速・高濃度対応イオン注入装置「SOPHI-30」>
 RC-IGBTはIGBTとダイオードを1チップ化する際に薄ウェーハの裏面のCollector部のP型部をN型に反転するために低加速・高濃度処理をする要求がある。従来のイオン注入装置は低加速・高濃度の処理を行う場合、処理時間が長くなり、生産性が低いという課題があった。低加速・高濃度を処理する場合、生産性を考慮し大電流イオン注入装置を使用する場合、複数枚のウェーハをディスクで回転し処理するので、薄ウェーハを使用するため割れるリスクがあるため使用できない。このため枚葉処理の中電流イオン注入装置が使用されてきたが、低加速・高濃度領域の生産性が低いというデメリットがあった。このたび開発した「SOPHI-30」は、従来装置のデメリットを解消し、低加速・高濃度処理が同社比で1/60の時間で可能となり、枚葉処理のため極薄ウェーハ割れの問題を払拭した。
 従来型のイオン注入装置は、イオンを生成する場所からウェーハまでの距離が長く、低加速でビームを輸送する場合、ビーム電流をロスしていた。このため、20keVで2E15ions/cm2の処理を行うのにウェーハ1枚で10分程度を要していた。
 SOPHI-30は、ビームを輸送する距離を極限まで短くし、ビームの輸送効率を改善することで、同じレシピでウェーハ1枚当たり10秒の処理が可能(同社比1/60)、フットプリントは同社比1/3を達成させた。
 SOPHI-30の特長は次の通り。
(1)低加速・高濃度のプロセスで同社比1/60(ウェーハ1枚当たり10分→10秒)の処理時間が可能
(2)フットプリントが同社比1/3、装置価格同社比1/2
(3)極薄ウェーハ対応
<高加速対応イオン注入装置「SOPHI-400」>
 IGBTの特性改善要望として、駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化の特性改善が求められている。これらを特性改善するために極薄ウェーハの裏面よりField Stop層*2に加速電圧として2MeV(2,000keV)程度の高加速イオン注入を行いたいという要望がある。同装置では極薄ウェーハを枚葉式で2.4MeVまで加速し処理することを可能にした。同装置では次世代プロセスとして水素(H)を使ってのField Stop層の形成も可能であり、水素(H)で深さが約4μmのプロファイルが形成でき、駆動電力の損失軽減やスイッチング特性の改善が図れる*3。
 また、水素の場合、低温での活性化が可能となり、高価なレーザーアニールを使用せずファーネス装置(アニール装置)で処理ができることになり、製造ラインのトータルコストの低減も可能となる。
 SOPHI-400の特長は次の通り。
(1)リン(P)イオンで2.4MeV(2,400keV)まで注入可能
(2)水素(H)でのField Stop層の工程が可能
(3)極薄ウェーハ対応
*1 Reverse-Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBTとダイオードを1チップ化したデバイス
*2 Field Stop層:特性改善のためにウェーハを薄くすると耐電圧が不足する。それを補うためにnベース層に濃度の濃いn+層を注入する。このn+層をFS層と呼ぶ。ここで言うFieldとは高電界のことで高電界を Stopする層(Layer)で、FS層(Field Stop Layer)と呼んでいる。
*3 特許出願中

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 08月09コンバーテック8月号(本文32頁)掲載のウイル・コーポレーション/日本HPの記事で、タイトルに一部誤りがありました【訂正PDFはこちら】