コンバーテック2021年10月号プレサービス
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MTECの多層インフレフィルム製造システムラミネータ・キャスト・シート兼用テスト装置4テストラインを20年に5層に拡充、近い将来には7層を実現していく予定。「現在、入国制限がありますので海外のお客様のテストに応えるのは難しく、国内のお客様への対応が中心ですが、3カ月先までスケジュールはいっぱいです」。 今回のLIBのビジネスでは特に顕著だが、同社の設備を用いて製造実績を確立した製品が海外に広がった場合、その実績は圧倒的なアドバンテージとなる。「最先端のフィルム・シートを活用した新しいビジネスの萌芽をキャッチし、開発段階から積極的にMTECの利用を提案していくことは、当社の今後の競争力に直結する最重要事項といえます」。こうした取り組みの例として、5G(第5世代移動通信システム)対応デバイスに組み込まれるフレキシブルプリント基板(FPC)向けの液晶ポリマー(LCP)フィルムのインフレ製膜装置の開発がある。5G向けFPCでは、回路上を伝わる電気信号の減衰の抑制が大きな課題となっており、LCPは低伝送特性を備えていることから、有力材料の1つと目されている。 従来、LCPフィルムの製膜は技術的に非常に難しいとされ、日本国内でも量産を行っているメーカーは数えるほどしかない。技術上のハードルの1つが配向のしやすさ。例えば、Tダイ法の場合、溶融樹脂を押し出した時点で流れ方向に配向してしまい、裂けやすくなるので横方向への延伸が非常に難しくなる。「海外企業からLCPをインフレ法で製膜したいという開発案件を獲得し、MTECで検証を進め、昨年、製造設備の納品にこぎ着けました。当社では初の試みであり、技術陣は相当苦労したようです。LCPは粘度が低く扱いにくいので、添加剤を加えてハンドリングしやすくしている材料がありますが、今回は添加剤を混ぜたものから高純度のものまで幅広く使ってテストを行い、いずれの場合でも、異方性の発生を抑制でき、かつ、ピンホールやシワなどの欠陥が少ないフィルムを実現しました」。 熱可塑性ポリウレタン(TPU)製ペイントプロテクションフィルムも、MTECでの技術開発からインフレ製膜ラインの受注まで至った成功例だ。自動車やバイクの車体に貼り付けるためのフィルムで、ポリウレタンの柔軟性により、チッピング(飛び石)や人為的なイタズラによる塗装の剥がれや傷つきを防止する効果がある。現在、特に海外において、高級車を中心に需要

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