コンバーテック2021年10月号プレサービス
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溶剤抽出加熱装置蒸発装置立花社長(右)と主任研究員の濵田賢一氏図1 混合プラスチックごみの分離・熱分解フロー11に、PE・PP・PSによって得られた燃料油からは、溶剤抽出法※2によって不純物を除去した高品質な燃料油も取り出せる。 こうして複合材の分離から油化までを一貫して処理できるのが、同社の特徴だ。ちなみに、原料となる混合プラスチックごみなどは、残渣が付着していても分離処理が可能だという。 同社は、企業から依頼を受けた廃棄物分離テストの実施、分離技術の基本設計、スケールアップ時の開発支援な※1 PE・PP・PSのうち、良質なものは油化せずにマテリアルリサイクルを行う。この際、オレフィン系のPE・PPとPSを分けることもできる。※2 燃料油を特定の溶媒に入れて加熱、撹拌し、高品質な油分を分離する手法。 廃棄物リサイクル技術の開発を行うアースリサイクル㈱(立花 孝社長、実験所:兵庫県たつの市揖保町揖保上新田447-1、TEL.0791-67-8515、https://www.earthrecycle.net/)は、同社独自の「湿式法」を用いて、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を炭素繊維と樹脂成分に分離する技術を確立。さらに、分離・回収したリサイクル炭素繊維(rCF)の販売も開始した。CFRPは現状、工程内で発生する端材や使用済み廃材の多くが埋め立て処分されているが、同社の技術であれば、こうした廃CFRPからrCFを取り出して、資源循環につなげることができる。同社は、この分離技術を用いて、竹からセルロースを回収し、細分化してセルロースナノファイバー(CNF)として販売する事業もスタート。自然資源の有効活用を通して、「より( 高橋綾子)環境負荷の低い材料を普及させたい」と意気込む。 3P分離装置熱分解装置残渣混合樹脂(PET、ナイロン、ウレタン)混合プラスチックごみPE, PP, PS(3P)溶解槽PVC、金属、土砂分離剤分離剤回収分離剤受槽PE, PPPS燃料油高品質燃料油混合プラごみを分離して 油化 アースリサイクルの分離技術である「湿式法」は、グリコール系の溶剤(分離剤)を用いて、複合材を成分ごとに分離する。例えば、混合プラスチックごみであれば、分離剤が入った溶解槽にプラごみに投入し、常圧環境下で250℃程度に加熱すると、「PE・PP・PS」「PET・ナイロン・ウレタン」「PVC・金属・土砂」に分かれる(図1)。具体的には、PE・PP・PSは溶剤表層に浮き、PET・ナイロン・ウレタンは溶剤に溶解し、PVC・金属・土砂は沈殿する(同社の分離技術の詳細は、コンバーテック2020年11月号に掲載)。 分離されたPE・PP・PSは熱分解処理を経て燃料油に※1、PET・ナイロン・ウレタンは溶剤を蒸発させて混合樹脂に、PVC・金属・土砂もそれぞれ回収して再利用できる。蒸発させた溶剤は再び分離剤として利用する。さら

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