コンバーテック2021年10月号プレサービス
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水肌22図1 多孔質フィルムを用いたフェイスマスクのイメージ図う考え方だ。 製品としてのフェイスマスクは、麗光が製造した多孔質フィルムに、支持体である生地を貼り合わせて、取り扱い性を高めている(図1)。 多孔質フィルムの製造法は、ウレタンのコーティング液に抗酸化材料を混ぜて、ウエットコーティングによって成膜、乾燥させるが、乾燥後のフィルムに特殊な2次加工を行うことで、ウレタンの多孔質構造の中に抗酸化材料が担持された状態になっている。細孔の構造や大きさは一定程度制御でき、成膜も含めたこの辺りの技術は、同社独自のノウハウだという。 フェイスマスクになるまでの流れは、まず麗光が抗酸化材料を担持させた多孔質フィルムを商社に販売し、別の加工生地抗酸化水抗酸化材料多孔質フィルム㈱麗光ウエットコーティングで新規開発品を 麗光は、真空蒸着やウエットコーティングをコア技術に、光学・電材・加飾用途などの工業材料の加工をメインに行ってきた。そうした中、新規開拓の一環で着目したのが、ウレタンを用いた製品展開だった。 美川氏は、「これまで当社の技術は、蒸着であれコーティングであれ、『基材に薄い膜を設ける』ことを主眼に置いてきました。一方、新製品の開発では、コーティング技術でシートやフィルムそのものを作ることができないかと考え、1つの形になったのが、この機能性多孔質フィルムです。開発段階では、ほかにも候補はあり、伸びの良さを売りにしたウレタン単体のシートなども検討したりしました」と振り返る。数μmの細孔が連結した構造 多孔質フィルムの膜厚は10~20μm程度だ。その内部には、数μmオーダーの細孔が多数存在し、それぞれが連結した状態にある。細孔内部には機能性素材を担持できるが、現在は抗酸化材料をターゲットに、アンチエイジング効果を訴求した「美容用フェイスマスク」の開発を材料メーカーとともに進めている。フェイスマスクを水に浸すと、細孔に担持された抗酸化材料により水が抗酸化水と変化し、顔に貼ることで、肌へ抗酸化水が浸透していくとい抗酸化材料を担持したウレタン製多孔質フィルム美容フェイスマスクに展開へ、市場拡大にらむ

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