コンバーテック2021年10月号プレサービス
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55図5 塗布タイプ(左)およびレイシスのイメージ図6 レイシスのインディケーター機能図7 レイシスによる色変化の様子図8 通気性由来効果の比較多孔質が薬剤で満たされていると光は透過して樹脂の緑色が見える使い始め従来品多孔質から薬剤が抜けると光は乱反射して白色に見えるレイシス使い終わりくなるように薬剤が動く)で放出される。最初は高濃度だが、時間経過と共に樹脂中の濃度が下がってくるので蒸散量は徐々に減少する。 レイシスの場合、第1・2段階に加えて、第3段階:薬剤の樹脂への溶解(樹脂と薬剤の飽和溶解度に依存)を経ることで空隙に取り込まれた薬液が樹脂中へ供給されるので、放出量が一定となる(図5)。 レイシスの商業利用においては、防虫剤に利用されるピレスロイド系薬剤へ特に効果的に作用することから、不快害虫忌避製品や衛生管理会社のOEMとして販売が本格化している。 なお採用事例においては性能の評価はもちろんのこと、その他の付加価値としてレイシスの持つインディケーター機能も評価されている。 インディケーター機能とは、揮散性薬剤を使用するにあたり効果の終わり、つまり使い終わりを可視化することで、使用者に対して交換時期を告知するものである。レイシスの多孔質構造は光の屈折によって白く見える性質を持っている(図6)。すなわち、薬剤が徐々に揮散するに従ってフィルムも徐々に白くなることで、フィルム自体の色変化によって、交換時期がひと目で分かるようになっている(図7)。これにより、従来は揮散性薬剤の“見える化”が難しかった分野でも、効果の終わりを可視化することができ、買い替え動機促進に貢献するものである。た樹脂内部の薬剤は効果に寄与していない。 対して、レイシスでは延伸多孔質であるため、フィルム表面のみならず内部薬剤も作用し効果を発揮できる(図8)。 多孔質構造は、それぞれの穴が連通しており、フィルムの表面だけではなく内部の粉状薬剤も効率よく効果を発揮することができ、添加剤の利用率や効果の発現速度など、高性能化も期待できる。現在は、防錆剤や乾燥剤用途での開発が進んでいる。多層化・複合化と機能付与3.レイシスの実用例と 機能化4.レイシスの今後 さらには吸着性・通気性を狙った多孔質体としてもレイシスの開発を行っている。これは、通気性由来の効果による粉状薬剤の高性能化実現を目指すものである。従来の練込み型フィルムではフィルム表面のみでしか効果が発揮されず、ま

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