コンバーテック2021年10月号プレサービス
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55表1 様々な拡散板タイプの比較図2  一般的なガウス特性の拡散素子とトップハット特性の拡散素子のHUDバックライト光学系での使用イメージ図。コリメートされたLED光が適度に拡散され、拡散による無駄な光が生じにくくなっている図3 MLAの構造パラメータタイプ塗布型(フィルム)微粒子を分散させた樹脂を塗布 フロスト型(ガラス)微細なランダム凸凹表面形状DMLA(ガラス、フィルム)マイクロレンズアレイNot used for displayGaussian diffuserHeight構成Enhanced brightness and uniformityPitchRadius図4 凸タイプと凹タイプでの拡散動作特徴内部散乱によりやや透過率低微粒子の形状分布のため拡散特性の制御性にやや難ありロールプロセスによる高い生産性ウェットエッチングによる拡散特性の制御性にやや難あり全体がガラス材料であることによる高い耐久性表面拡散のため高い透過率表面形状の設計による高い制御性転写プロセスによる高い生産性Minimized lossTop-hat diffuserConcave MLAConvex MLAつ均一で色ムラのない拡散機能を実現するなど、拡散特性分布の細かな最適化が可能となっている。以下ではDMLAの特徴と設計の概要について記す。スト拡散板はすべてガラス材料で構成されることからレーザーや耐熱性など高い耐久性とシンプルな工程による低コスト性が優れるが、同じように特性の光学特性の制御性に限界がある。これらに比較して当社のDMLAは、設計された表面形状によって拡散特性の細かな制御が可能である点や、内部散乱による光損失がなく高い透過率が得られる点、ロールtoロールUVインプリントによる微細構造転写によって低コストで提供できるポテンシャルを有している点が利点となっている。この特徴ある拡散特性をHUDシステムに適用した場合の効果について図2にイメージを示す。HUDでは通常、運転手のアイボックス近傍のみに光を届けるために、レンズによって適度にコリメートされたLED光がTFT/LCDパネルに入射するが、この場合、個々のLEDによって面内に輝度のムラが生じる。このムラは通常、拡散板を挿入することで解消されるが、同時に、拡散のため広い角度範囲に広がることになる。TFT/LCDパネルからの拡散放射光は、次段の凹面鏡に入射し虚像を形成するが、凹面鏡のサイズには限りがあるので拡散放射光のすべてを補足できるわけではなく、実際の明るさに寄与しない無駄な光の成分が生じることになる。DMLAのトップハット拡散特性では、拡散によって輝度の平坦化を図りながら前記の無駄な拡散成分を発生させず、LED光からTFT/LCD〜凹面鏡の光の利用効率を大きく改善できる。2.DMLAの特徴 DMLAと、従来の拡散素子との比較を表1に示す。最も一般的な塗布型拡散板は、微粒子を分散させた樹脂をフィルム上に塗布するもので、成熟した技術で低コスト化にも優れる一方、拡散特性の制御性や透過率に問題がある。また、フロ3.DMLAの設計 DMLAの設計には、図3に示すような個々のレンズの曲率や非球面係数、ピッチ等の配置情報の一般的な非拡散のマイクロレンズアレイの設計項目に加えて、統計的な分布に従った形状や配置の非周期性を設計が必要になる。図4に示すレンズの凸凹の区別は拡散特性には影響を与えないが、非周期成分の設計は重要になる。非周期性は回折低減のためには大きいことが好ましい反面、レンズサイズ

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