コンバーテック2021年10月号プレサービス
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paG/)−(]H/nmh=[厚膜小最−800−450−200i70図2 Ca数のマップ となります。 これを覚えれば、誰でも暗算で「塗れるか?」に答えられます。 マップの意味をもう少し理解するために、次に、Ca数について説明します。③Ca数について 粘性力と表面張力の寄与率を表す無次元数で、数値の意味は以下の傾向になります。Ca数>1で粘性支配、Ca数<1で表面張力支配 ここで、液滴が支持体上で濡れ広がる状態を考えましょう(図3)。液滴と空気界面の近傍では「曲率半径Rの液が、速度Uで濡れ広がっている状態」です。これはスロット塗布で走行支持体にビード形成されるのと相対的に同じ状態です。Ca数の定義が式(1)となります。Ca =[η・U/σ] =[粘度]×[速度]/[表面張力]………(1) 例えば、粘度50mPa・s、表面張力25mN/m、塗布速度120m/分ならば、式(2)から、Ca数=4になり粘性支配になります。図3 液滴が支持体上で濡れ広がる状態………(2) Ca数が粘性力と表面張力の寄与率を表す意味は、式(1)の分子と分母をRで割ることで理解できます(図3)。 分子の[η・U/R]は[粘度]×[剪断速度]で粘性応力、分母の[σ/R]はLaplace-Young式の2次元解なので、毛細管力に相当します。 以上から、Ca数は「スロットダイ塗布性の粘性と表面張力の相対比率を代表する値」と見なせることが分かります。④Ca数マップの意味 図2の右下がNG領域、左上がOK領域になります。図示したように、Ca数=2.5、[hmin/H]=0.4では塗布できませんが、以下の【A】~【D】の操作をすることで塗れるようになります。【A】ギャップを狭くする:塗布膜厚が一定でもHを小さくすればhminは相対的に大きくなります。例えば[hmin/H]=0.4が、塗布膜厚40μm、ギャップ=100μmの時、ギャップ=50μmまで狭めれば塗れるようになります。【B】減圧する:ビードの背面減圧を強Ca =[50E-3]×[120/60]/[25E-3] =4(-)くするほどOK領域が広がるので塗れるようになります。【C】低速化:Ca数を小さくする操作です。前出の例でいうと、Ca数=2ではNGでもCa数=0.02まで遅くすれば塗れます。例えば、粘度50mPa・s、速度60m/分、表面張力25mN/mならばCa数=[50×(60/60)/25]=2(-)でNGでもCa数=0.02つまり1/100の速度にすると塗布OKになります。速度は60→0.6m/分です。【D】低粘化する:希釈すると粘度が下がり、膜厚も大きくなります。例えば、同じ例で、粘度50mPa・sの塗布液を2倍に希釈した場合、粘度も1/2の25mPa・sになったとします。希釈したのでWet膜厚は40→80μmになり、Ca数=0.2に下げるだけで塗布できます。つまり、2倍希釈すれば60→6m/分の低速化で対処できるわけです。 慣れると、頭の中で簡単に「塗れるか/塗れないか」をイメージできるようになりますし、現在のスロット塗布条件が、どういう位置付けになるのかを把握するためにも、ぜひお薦めしたいマップです。Ca数=[η・U/σ](−)液滴が支持体上を濡れ広がる状態スロットダイのビード状態●0(Pa) △−200(Pa) □−450(Pa) ◇−800(Pa)【D】低粘化する(希釈で膜厚アップ)1.0【C】低速化0(Pa)0.10.010.1【A】ギャップを狭くする【B】減圧1.010.0曲率半径Ca数= [η・U/σ] = [η・U/R]/[σ/R] 〜[粘性応力]/[毛細管力]曲率半径濡れ速度支持体塗布速度OKNG

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