コンバーテック2021年10月号プレサービス
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)aP(圧減面背01支持体72設計。一般に低粘液で0.5~1mm、高粘液で1~2mmが適当。2)ギャップ設定:低粘薄層塗布ならば100μm以下で作業者が再現可能な値、高粘厚塗りならば、前出の「②単層スロットダイのリップ近傍流動 1)上リップ」で示した「Wet膜厚(h)の2倍以上」に設定すれば良い。3)減圧調整:ギャップほどセンシティブではないので、式(3)で大まかに見積もった上で、実機での微調整を行うと良い。 なお、図5から分かるように、低速低粘ならば、減圧なしでも条件を構築できるので、パイロットや低速の量産機では、減圧設備を付帯しなかったり、減圧チャンバーを使わなかったりする場合もあります。その場合、ギャップ最適化で安定条件を確立しますが、式(3)に示したように、ギャップの二乗が寄与するので、Δ10μmレベルのセンシティブな調整が必要になります。こうした微調整を避けたければ、減圧調整が簡便でしょう。〔補足〕予備ダイ:パイロットでも量産機でも、スロットダイを2台保有する場合、筆者のおススメは「下リップ1mmの同一仕様で1台は予備ダイ」です。なぜなら、下リップ長が異なる「低粘用」と「高粘用」を各一台で保有しなくても、共通のリップ長で多くの塗布条件をカバーできるからです。仮に、導入後にリップ長を変更したくなった場合は、予備ダイの先端を削って最適化すれば良いのです。④同時重層スロット塗布のリップ近傍流動 図6に、2層同時スロット塗布の流動例を記しました。3カ所に分けて考えれば良いということを示しており、「上下層は同一粘度、同一流量」の「単層と見なせる状態」となります。塗布液の上端:上リップに接する上層のみで考える。塗布液の下端:下リップを逆走するのは概ね下層なので、下層のみで考える。上リップ~支持体間:三角の速度分布プロファイルを考慮する(凹型三角が理想)。⑤上下層の粘度と流量が異なる場合 実際の同時重層塗布では、「単層と見なせる」理想状態にはなりにくいのですが、では、上下層の粘度と流量のバランスは、重層塗布性にどのように影響するのでしょうか。前記の「上リップ~支持体間」の流速分布を解説します。 図7は、中央に記した「最も安定な図5 式(3)により5m/分で試算した結果図6 2層同時スロット塗布のリップ近傍流動塗布液の上端200015001000500101001000粘度 η(mPa・s)粘度η・10000上層のみで考えれば良い塗布液の下端下層のみで考えれば良い上下の界面は粘度バランスが支配

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