コンバーテック2021年10月号プレサービス
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77問い合わせ yasuhiro.ukai@spice.ocn.ne.jp ここで取り上げる技術およびビジネスに関する情報は、ディスプレイ関連の世界最大規模の学会であるSID(Society for Information Display、筆者は初めて発表した1984年以降ほぼ欠かさず参加)、ディスプレイ関係の国際会議であるIDW(International Display Workshop)および、関連展示会から得られたものである。 連載で取り扱う予定のテーマを表1にまとめたので、ご参照いただきたい。Ukai Display Device Institute(UDDI)鵜飼 育弘1.はじめに 「次世代ディスプレイ展望 -有望技術と材料、日本企業の強みを探る-」と題した連載を始めるにあたり、今月号では、・連載の目的と概要・今後取り扱うテーマ(予定)・ディスプレイデバイスとは・ディスプレイの評価要素 について述べる。2.連載の目的 ディスプレイデバイスの評価要素を明確にし、各要素技術の最新動向と関連部材動向について述べる。単なる技術動向に留まらず、コスト構造や環境保全など、ビジネスを展開する上で避けて通れないテーマも取り上げる。 筆者は、次頁の略歴に記したように、アモルファスシリコン(a-Si)TFTおよび、低温ポリシリコン(Low Temperature Polycrystalline Silicon:LTPS)TFT駆動のLCDの黎明期から実用化(量産)に至る業務に従事した。したがって、この連載では、これらの経験に基づいた「筆者の所見」を織り交ぜながら執筆するつもりである。3.ディスプレイデバイスとは1) 人間は情報入力の手段として五感を使っているが、情報の実に80%以上は「目を通して」得た画像によるものだと言われている。そこで、図1に、人間の情報入出力能力の比較を示す。 まず、入力機能として五感の受容細胞の数を比較すると、視覚が最大で、次いで嗅覚と味覚が挙げられる。また情報処理速度でみた場合、やはり視覚が最大で3Mbps(Mbps:1秒間に送受信可能なデータ量の単位)、聴覚はそれより2桁ほど低く、さらに嗅覚、味覚ではさらに 2桁か3桁低い。したがって、ネットワーク社会の中で、ヒューマン・マシン・インターフェース(Human Machine Interface:HMI)として視覚から情報が得られるディスプレイデバイスが重要な位置を占めることは明らかである。Vol.Ⅰ プロローグVol.Ⅰ プロローグ

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