コンバーテック2021年10月号プレサービス
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77図5 ディスプレイの評価要素(筆者作成)表2 純物理量と心理物理量(筆者作成)放射量(純物理量)光束(lm)光度(cd)放射束(W)放射強度(W/sr)放射輝度(W/sr/m2)輝度(cd/m2)放射照度(W/m2)放射発散量(W/m2)放射エネルギー(J)照度(lx)光束発散量(lm/m2)光量(lm・s)測光量(心理的物理量)量子化Quantization色再現範囲Color Gamut空間解像度Spatial ResolutionTemporal ResolutionコントラストContrast時間解像度レイデバイスの関係者には「必須」であると考える。同じように、機械工学科には「伝熱工学」もない。スマートフォンの設計で、両科目は必修と著者は思うが。なので、表には基本的な物理量と単位を示した。なお、定義等は参考文献2を参照されたい。場合は、60i=30p(1秒間に30コマ)が主流。8K放送で標準化されているBT.2020では、120pまで定義されており現実世界とほぼ遜色のない滑らかな動きを表示できる。 なお、ここでのpやiとは、プログレッシブ走査およびインターレース走査を示すが、紙幅の都合により詳細な説明は割愛させていただく。時間解像度を示す単位であり、大きいほど滑らかな映像表現が可能となる。(3)量子化(Quantization) 量子化は、アナログ信号からデジタル信号への変換(A/D変換)の際に、信号を何段階の数値で表現するかを示す値。この値が大きいほど元の信号に忠実なデータが得られるが、データ量はその分増大する。 したがって、ビット数が高いほど、たくさんの色を表示でき、より自然で滑らかなグラデーションを実現できる。8ビット表示の場合は約1677万色、10ビット表示の場合は、約10億7374万色もの色を再現可能。(4)色再現範囲(Color Gamut) 色再現範囲は、表現できる色の範囲を示す。人間の目が知覚できるRGBを平面上に再現したのが色域図である。この三角形で囲まれた部分が大きいほど、より豊かな色彩を表現できる。ディスプレイの表色系の色域規格は、様々な画像情報サービスやデバイス技術(スペクトル幅の狭い光源・フィルター)の発展に伴って、sRGB規格(一般的な画像モニタ)から、Adobe RGB規格(主に印刷向け、深い青の表現範囲が広い)、NTSC規格(標準テレビなど)へ、さらには3原色をほぼ単一波長光(純色)で構成して色域を大幅に拡大したBT.2020規格(スーパーハイビジョンなどの次世代映像システム)に進展して、拡大されてきている。これにより、現実に存在する色のほとんどが電子ディスプレイで再現できるようになる。12bit10bit10bitB.T.20208K4K4K2KSDQVGA60p60iLCDw/oLD240p8bit120p120p6bitsRGBDCILCDw/LDLCDw/LDOLEDOLEDHDR(High Dynamic Range)次世代ディスプレイ展望 -有望技術と材料、日本企業の強みを探る-4.2 ディスプレイの評価要素4) ディスプレイの画質を決める要素として、図5に示すように、空間解像度、量子化(ビット深度)、時間解像度(フレームレート)、色再現範囲、コントラストの5つがある。このうち空間解像度、量子化、時間解像度、色再現範囲の4つについては、UHD(Ultra HD)の放送規格ITU-R BT.2020で規格化されており、HDの放送規格ITU-R BT.709から進化している。以下に各要素について述べる。(1)空間解像度(Spatial Resolution) 空間解像度(近くにある線・点を区別し「2つ」と認識できる限界距離)は画素ピッチに相当して、視距離を設定した上で人間の目で知覚できる解像角(視力1.0で角度 1分)に基づいて設計される。テレビでは、高い臨場感・実物感を求めて、地上アナログテレビで用いられた標準テレビ(解像度:横720×縦480)から、ハイビジョン(2K:1920×1080)、4Kテレビ(3840×2160)、そして8Kスーパーハイビジョン(7680×4320)へと高解像度化が進展し、それに合わせてディスプレイの見込み角(視角)の拡大、すなわち大画面化(疲労なく見られる視距離、つまりディスプレイと人との距離の拡大)が進展している。(2)時間解像度(Temporal Resolution) 時間解像度は、明滅する光に対する感応で決められる。すなわち、光の明滅を識別できる最小の時間間隔となる。通常、その下限は20~30Hz程度といわれる。この周波数以上で、静止画の高速切替表示(動画情報の節約に有用)を行えば、ちらつき(フリッカ)を感じさせない連続した動きとして認識される。これにより、テレビや映画など動画コンテンツにおける毎秒あたりの静止画数、すなわちフレーム周波数やコマ数が決定される。 映画は24p(1秒間に24コマ表示)、一般的なテレビの

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