コンバーテック2021年10月号プレサービス
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88柴野 富四 今の日本で<クラフト粘着テープ>を使ったことがないという人は、めったにいないと思います。一方、<ガムテープ>を実際に使った経験がないという方は結構おられる!? 若い方々は、ほとんどさわったこともないし使ったこともないでしょう? 今でもクラフト粘着テープを“ガムテープ”と呼んで、両者を混同なさっている方もおられる。<ガムテープとクラフト粘着テープは別物>なんです。 図1をご覧いただきたい。ガムテープはクラフト紙の片面に(切手の糊のように)水でぬらすとベタベタして固着する<再湿接着剤(Remoistening adhesive)>を塗工したものです。 このガムテープ(Gummed paper tape)の歴史は古く、昔はクラフト粘着テープ(以下「クラフトテープ」と略す)よりはるかに多く使われていたんですよ。日本でクラフトテープが開発されたのが1960年、勿論それまで段ボール箱封ふうかん緘材ざいのシェアNo.1はガムテープ、74年の時点でもトップでしたが、やがて<水も使わず>手で押さえるだけで貼れる簡便性の点からクラフトテープに凌駕され、需要はクラフトテープの約1割程度に減ってしまいました。しかし、昨今の<プラスチック使用削減・廃棄物削減>の風潮の中、日本でもガムテープが見直されはじめる兆しが見えてきたようです。 さて現在の時点で図1を見ながら、クラフトテープと比較しながら、ガムテープの利点・欠点、これからを考えてみましょう。まず、[テープの基材]を比べて見て下さい。クラフトテープでは代表的なプラスチックであるポリエチレンが目止剤として使用されています。これはプラスチック使用削減の点から考えると、マイナスの要素となります。またポリエチレンは、段ボール、紙をリサイクル(再生紙化)する際に混入すると問題となります。ポリエチレンが、製紙工場の抄紙機に付着・混入したりしますと大きな問題を起こし、大きな損害につながります。そのためポリエチレンなどプラスチック類は、製紙現場で“禁忌品”扱いになっています。後に述べます粘着剤も同様です。 回収された段ボールや古紙は、製紙工場の大きな洗濯機のような“パルパー”へ投入され、水中で撹拌され繊維状に解ほぐされ再生紙の原料パルプとなります。ポリエチレンや粘着剤は溶けずにかたまりとなって残り、リパルパブル化できません。ポリエチレンは広く使われる有用な物質ですが、こと紙をリサイクルさせる上では、障害となってしまうのです。ポリエチレンの上に、テープをほごし易くするためにシリコーン剥離剤が塗られています。クラフトテープで図1 <ガムテープとクラフト粘着テープは別物>ガムテープクラフト粘着テープ<ガムテープの特長>・再生紙化できる。回収した段ボールや古紙とともにリサイクル可能・プラスチック廃棄物が出ない・クラフトテープに比べ省資源・省エネ・価格が安い・背中側に印刷・印字・マーカー筆記ができる・重ね貼りができる。テープの上にテープが貼れる・背中側が滑り難いので梱包・積み上げた段ボール箱が荷崩れしにくいクラフト紙再湿接着剤切手のように水を付ければ接着しますEco-friendly gummed paper tapeシリコーン剥離剤ポリエチレン(PE)クルパック処理クラフト紙粘着剤Plain kraft paperWater activated adhesiveテープ基材「ガムテープが欧米で伸びている!」<Amazonや世界最大のスーパーマーケットチェーンWalmartでも採用>

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