コンバーテック2021年10月号プレサービス
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)N(度強張引)N(度強張引)ンョシンテ(力張引弾性変形領域00域領形変性弾図4 紗張り時の版テンションと印刷時の版テンションの相関図3 ステンレスメッシュのS-S曲線の「比例限度」と「弾性変形領域」メッシュのS-S曲線を示す。両者は、全く異なる曲線を示している。ステンレスメッシュは、ある限界点を超えると急激に変形するが、ポリエステルメッシュは、初期からすこしずつ変形し続ける。 図3に、ステンレスメッシュBS325のグラフの立ち上がり部分を、横軸方向を拡大して示す。グラフの横軸の伸びに合わせて縦軸の引っ張り力が比例して大きくなって、ほぼ直線であることが分かる(完全な直線にはなっていない理由は、試料が金属片でなく、織物のメッシュであるためと考えられる)。伸びを大きくするとグラフが大きく曲がっている。グラフの曲線が大きくなり始めた部分が前述の「比例限度」に相当すると推定できる。 図4のイメージ図で、版テンションとクリアランスの関係を説明する。紗張り3.ステンレスメッシュと ポリエステルメッシュのS-S曲線 図2にステンレス28μm線径・325メッシュと、ポリエステル55μm線径・230である。この両者の変形の違いを明確に理解し、分けて考える必要がある。 一般的に金属は「弾性率」が高いため、「比例限度」以下の比較的大きな引っ張り力の範囲で弾性変形し、それを越えると急激に塑性変形が大きくなり、破断する。一方、プラスチックなどの合成樹脂の材料では、「弾性率」が小さいため、「比例限度」が小さく、引張力を大きくすると塑性変形が緩やかに進む。このため、急激な破断はなく、材料は緩やかに変形する。これが、金属であるステンレスメッシュと合成繊維のポリエステルメッシュの変形モードの大きな違いである。図2 ステンレスメッシュとポリエステルメッシュのS-S曲線の違い組成が外力に比例してわずかに変位し、外力が無くなると完全に元に戻るものである。つまり「完全弾性体」である。しかしながら、「比例限度」を越え、さらに伸びを大きくした領域では、グラフがわずかに曲線になっている。この領域では、ある程度の弾性はあるが、「完全弾性体」ではなくなっており、伸ばされた材料内部で原子や分子の並びに微小なズレが発生する。つまり、内部で発生した微小なズレは、外力を取り除いても無くならないため、伸ばされた材料は完全には、元には戻らなくなり永久的なひずみが残る。例えば、伸びた長さの99.999%は戻っても、0.001%が戻らないイメージである。この場合、材料を伸ばす回数や伸ばしたまま時間が経過すると、ズレの量が0.002%, 0.003%・・・と大きくなる。このような変形を塑性変形と呼ぶ。つまり、塑性変形とは、いったん、伸びた材料が、完全には元に戻らないで、永久的なひずみが残る変形のことである。 スクリーン印刷において、弾性変形領域での「版伸び」は、均一で可逆的な(元に戻る)伸びであり、実用上、全く問題にならない。設計値に近い寸法で画像を印刷したい場合は、あらかじめCADで縮小補正して、スクリーン版を製作することで対策可能である。一方、塑性変形の「版伸び」は、不均一で、不可逆的な永久的な伸び(ひずみ)であり、印刷回数が増えるとひずみ量が大きくなる。印刷工程で、問題となるのはこの塑性変形のことであり、これが「版伸び」不具合伸び1.5伸び(mm)2.07006005004003002001000ポリエステルメッシュ10 EX230ステンレスメッシュBS325204030伸び(mm)506070比例限度紗張り時の伸び400350300250200150100500ステンレスメッシュ BS325比例限度(推定)0.51.0塑性変形領域印刷時の版テンション②印刷時の版テンション①印刷時の版テンション①紗張り時のテンションクリアランス量②クリアランス量①99

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