コンバーテック2021年12月号プレサービス
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①接着剤に要求される性質として、① 使用時に良く流れること               ②② 材料 (被着体)表面を良く濡らすこと    ③ 固化、硬化して強い凝集力と 他の材料との強い接着力を持つこと③接着剤は良く流れて、良く濡らし、強く固まり、良く接着することと言えます。つまり、どのように上手に管理するかです。6.1 接着機能の発現 ある材料と別の材料とを貼り合わせるには、接着剤が必要となります。この接着剤には次のような性質が必要とされます。①接着剤は使用時に良く流れること。② 材料(被着体)表面を良く濡らすこと。③ 固化、硬化して強い凝集力と接着力を持つこと。 つまり、接着剤は、良く流れて、良く濡らし、強く固まり、良く接着することが求められます。 図65に接着機能の発現条件をまとめました。6.2 接着と粘着 接着について語ると、必ず粘着とは何かということを尋ねられます。接着とは、ある材料にもう1つの材料を接触させ、着け、接合させることです。これに対し、粘着は、材料同士を粘着力で着けることです。接着は、一度着けて固化させると、強度が強くなり、剥がすのが難しいことが多いです。一方、粘着は、貼り付け力以上の力を加えると剥がすことができ、剥がした後でもまた貼ることができます。ここで材料を接着させる物質を接着剤、粘着させる物質を粘着剤と呼びます。 接着剤は溶剤の揮発、熱や光による反応・硬化などにより、材料自体が接触、固化し、強く接着機能を発揮します。一方、粘着剤は、材料自体が変化することなく、粘着剤そのものの粘性により粘着し、別の材料(被着体)から剥がれるのを防ぐ機能を有しています。6.3 接着力と凝集力 接着した材料の強度を測定する場合、何らかの方法で剥がし、それをきっかけとしてその強度を測定します。こうして得られた値を接着強度と言います。 紙同士を接着剤で貼り合わせ、同様にして接着強度を測ると、紙の層間で剥がれてしまい、実際に紙と接着剤との間の接着強度を測れないことが多々あります。また、アルミ箔同士を接着剤で貼り合わせ、同様に接着強度を測定すると、アルミ箔面と接着剤層間で剥がれる状態と、接着剤が両方のアルミ箔面に取られて剥がれる状態が起こります。 紙の層間や接着剤の層間の剥がれの現象に見られる強さを凝集力と呼び、接着剤とアルミ箔の界面における剥がれ強さを接着力と呼びます。 このように接着強度は、凝集力と接着力とに分けられますが、実際には、明らかな剥離状態としては現れず、凝集力と接着力との両者が一緒になった問い合わせ先■ koichi-ma@h9.dion.ne.jp138コンバーテック 2021. 12図65 接着の機能発現条件新人にも生産現場でも役立つラミネーティングの知識・ノウハウ(18)新人にも生産現場でも役立つラミネーティングの知識・ノウハウ(18)6.はじめに フィルムと樹脂、フィルムとアルミニウム箔、フィルムと不織布、紙・板紙と樹脂などを貼り合わせる際には、接着剤やAC(アンカーコート、下塗り剤)剤が使用されます。 接着剤は、紙、プラスチック、木材、繊維、ゴム、セラミック、電気製品、玩具、自動車内装材、家庭用品、産業資材など多種多様な用途で使用されていますが、いずれの場合も、多くは液体の状態で対象物に塗工され、固化または硬化を経て接着機能が発現します。 ところで、接着について記述しようとすると、濡れ、表面張力、投■■■■■錨効果、溶解度パラメーター(SP:Solubility Parameter)、双極子能力、溶解、拡散、浸透、吸着、固化、粘度、流動、破壊……などの専門用語が登場し、専門家ならいざ知らず、一般の人は、ちょっととっつきにくいと思われるかもしれません。そこで、ここでは、ラミネートにおける接着について、基礎的な用語を取り上げ、できるだけ分かりやすく解説してみます。松本技術士事務所技術士(経営工学)松本 宏一 接着剤の種類には、化学反応型接着剤、溶剤揮発型接着剤、ホットメルト型(熱溶融)接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)があります。ラミネーティングにおける 接着の基本とトラブル(その1)

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