コンバーテック2021年12月号プレサービス
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濡れ・大液体固体液体θθθ固体水(72.5dyne/cm)ポリエチレンフィルム(31dyne/cm)エチルアルコール(22.0dyne/cm)ポリエチレンフィルム(31dyne/cm)水(72.5dyne/cm)アルミニウム箔(約500dyne/cm)液体固体処理法、薬品処理法、熱風処理法、電子線照射処理法などがあります。 フィルムの表面処理法としては、コロナ放電処理法が代表的です。6.4.2 濡れ状態と表面張力 表面張力という考えから、図68に水の濡れ現象を、エチルアルコールと比較して挙げました。表17からポリエチレンフィルムの表面張力は、31dyne/cm、水は73.0dyne/cm、アルミ箔(焼鈍後、アニール後)は、約500dyne/cmの値が得られます。水はポリエチレンフィルムに比べ表面張力が倍以上大きいために、水は丸い水滴になり、アルミ箔の表面張力は水に比べ約7倍も大きいために、水は広図 68 水とエチルアルコールとの濡れ状態と表面張力図69 液体の接触角(θ)と濡れ2)がり、良く濡れることが分かります。 また、ポリエチレンフィルムの表面張力以下の液体、例えばエチルアルコールなどをポリエチレンフィルムに塗るときれいに濡れた状態になります。このように、表面張力の大きい材料ほど濡れやすく、接着しやすい材料と言えます。ただし表面張力が大きくても、油などで表面が汚れていると、表面張力は小さくなり、十分な接着は得られません。6.4.3 液体の接触角と濡れ 液体の広がり、つまり濡れの程度を、液体と固体の接触面が作る角度で示すことがあります。これを接触角(θ、シータ)と言います。図69に接触角の模式図を示しました。接触角が小さいほど、良く濡れます。例えば、水と各種材料の接触角は次のようになります2)。 鉄(Fe) 0°、アルミニウム(AL) 4.5°、ナイロン(NY) 70°、ポリ塩化ビニリデン(PVDC) 80°、ポリ塩化ビニル(PVC) 87°、ポリスチレン(PS) 91°、ポリエチレン(PE) 94°、フッ素(F) 108 °。鉄の接触角は0°であるので良く濡れ、フッ素の接触角は大きいので、濡れが悪いことを意味します。6.4.4  紙の添加剤による濡れへの 影響 焼鈍(アニーリング、annealing)後のアルミ箔(AL)は非常に濡れやすい材料ですが、表面に油などが付着して汚れると、表面張力は50〜70dyne/cmと極端に低下し、濡れが悪くなります。つまり、接触角が大きくなり、接着に悪影響を与えます。 図70に紙面と接するAL箔面の表面張力の低下により、AL箔面にポリエチレン(PE)を押出コーティングを行った場合に、層間の接着強度が大きく低下した一例を示しました。 この原因は、紙に含まれる添加剤が、巻取後にAL箔面に移行して、表面張力を低下させ、ポリエチレン押出コート間の接着強度を250g/25mmから100g/25mmに低下させた例です。対策としては、紙とAL箔を貼り合わせた後、直ちに次のPE押出コート加工を行うか、2工程目の押出コート時にAL箔面に接着剤(AC)を塗工して生産する必要があります。巻き取った後に、接する面の影響は大きく、特に紙、フィルムの印刷面、添加剤含有フィルム面に接した後の加工には十分な注意が必要です。6.4.5 主な液体・固体の表面張力 主な液体と固体の表面張力は表17を参照してください。140コンバーテック 2021. 12新人にも生産現場でも役立つラミネーティングの知識・ノウハウ(18)

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