コンバーテック2021年12月号プレサービス
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年末年始を目前に控え、寅年こそは良い年を迎えたいという思いを打ち砕くようなオミクロン株の出現です。ウイルスも必死ですので、新しい変異株が登場するのも定めといえばそれまでですが、ようやく戻りかけていた日常生活は一体いつまでもつのでしょうか。10月に1バレル当たり80ドルを突破したWTI原油先物も、今月初めには60ドル台に下げています。石油需要の先行きに対する不安を反映してですが、素人ながら、寒波が予想されるこの冬のエネルギー需要の増加、爆買い国の戦略によっては、このままでは済まないのかもしれません。予断を許さぬ状況にあるのは間違いないのですが、タイムラグで、高い原油を購入してしまったツケは、いまだ市民生活の至る所に表れています。先日、夕方のTV番組で、おでん屋の店主に、(オミクロン株の出現以前の)原油の値上がりの影響で、具材や光熱費が上がっているが、(そんな大変な状況にあるのに)「お客様に迷惑がかかるので、年内いっぱいは値上げしない」と言わせていました。でも、これってちょっとおかしいですよね。どのマスコミもはっきり言わないので、あえて書きますが、資源最貧国の日本にあっては、これは政府の無為無策の結果であって、商店主の責任ではありません。業界でも、酢酸エチルが足りなくなって大騒ぎしています。10年前の、東日本大震災の時にサプライチェーンが寸断されて大騒ぎしたことがありましたが、そこから政府は一体何を学んだというのでしょうか。トライポッド・デザインは、11月30日に「OFF THE GRID 企業協働プロジェクト説明会」を開催し、既存の商用電源の無いところで、土や水、コンクリートから集電する技術を披露した。水からの集電には、カーボンナノチューブのシート/和紙/ジュラルミンのシートから構成される集電材を使用している。構成は、今後変わるようだ。実際、京セラのLED素子を接続し、集電できていることを示した。また、活物質の違う2種類のコンクリートを立方体ユニットに組み合わせたものから集電した後、今度は、そのユニットに電気を蓄電して取り出す実験も行い、見事に光らせた。水が触れると電流が反転するため、センシングにも使える。同社の超小集電に関しては、2020年12月号、2021年5月号を参照していただきたい。なお、今月12月25日まで、パレスホテル東京1階のメインロビーに、パレスホテルの有機肥料「エコパレス」を活用して集電したクリスマスツリーの電飾が飾られているので、超小集電をマジックと思われている方は、是非、足を運んでいただきたい。毎度おなじみですが、『何事も、ちょっと見よりは難しいのが常である』『何事も、初めに予想したより時間がかかるものである』『何事も、失敗の可能性があるものは、失敗が起こると覚悟しておくこと』(批評家・小林秀雄氏)。いつも、そうそうと肯定するばかりです。色褪せませんね。今年も日日是蹉跌でしたが、『怠けるな 怒るな 威張るな 焦るな 腐るな 驕るな 自分にな』(東大寺・清水公照長老)です。では、また、2022年 1月号でお会いいたしましょう。コンバーテック 2021. 121編集長 川上 幸一Vol.263

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