コンバーテック2021年12月号プレサービス
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16 水処理・廃棄物処理技術の開発を行うWEF技術開発㈱(滋賀県大津市堂1-19-15、TEL.077-549-8015、https://aoyama-wefit.com/)は、琵琶湖に大量に繁茂し、「不要なもの」とされる水草を、活性酸素を用いて短時間で堆肥化する技術を開発。2022年には、水草堆肥「ゆめ咲咲(さくさく)」として販売を開始する予定だ。従来、滋賀県が行ってきた水草の堆肥化事業では、露地で自然乾燥・発酵させるため2〜3年を要していたが、同社は活性酸素を効率的に水草に作用させることで、約2週間での堆肥化に成功した。同社の水草堆肥は発酵時に米ぬかを使用するため、連作障害が少なく、ミネラルが豊富な甘くて美味しい作物が育つ。また、安定供給が可能な植物由来肥料として、有機栽培を行う農家からも好評を得ている。青山 章社長に、活性酸素を活用した水草をはじめとする有機物の処理技術について聞いた。( 高橋綾子)コンバーテック 2021. 12青山 章社長(粉末処理まで行った場合、処理能力は1日当たり2トン)のではないかと考えました」と振り返る。水分量が多く、露地で自然乾燥・発酵させるためだという。 青山社長は、「6年前に試験を行い、活性酸素を用いて水草を堆肥化できることは確認しましたが、農業利用を広げるにはコストを安く抑えたうえで、今の肥料にはない付加価値が必要です。コストの低減では、いかに手間暇をかけずに短時間で処理できるかなどが課題になりますが、その点を滋賀県の補助金もいただきながら解決に取り組み、昨年ようやく完成しました」と話す。 同社の活性酸素処理装置には、「α-Gaia(アルファガイア)」と高速活α-Gaia-2000 WEF技術開発㈱下水汚泥の堆肥化が スタート WEF技術開発は2016年、工場設備のメンテナンスを行う㈱アオヤマエコシステムの水処理・廃棄物リサイクル事業部が分離独立して、設立した。社名のWEFは、Water・Energy・Foodの頭文字を取ったものだ。 同社は従来、水中の難分解性有機物の処理に活性酸素を用いる研究を行ってきたが、研究の過程で、大気中で活性酸素を発生させて、物質に作用させる技術を開発。この技術を用いて、まずは下水処理場の汚泥を活性酸素で分解し、堆肥化することに成功した。 続いて着目したのが、琵琶湖の水草だった。青山社長は、「6〜7年前に、滋賀県の下水処理場で汚泥の堆肥化試験を行っていた時に、『汚泥が堆肥化できるなら水草もできるのではないか』と聞いたのがきっかけです。県は毎年3億円をかけて水草を刈り取り、堆肥化していますが、活性酸素を使えば、より効率的に処理ができる水草を分解、乾燥させて 粉末材料にも 滋賀県琵琶湖保全再生課によると、琵琶湖の水草が大量に繁茂すると、漁業や船の航行の障害になったり、腐敗して悪臭を発生させたりするなど、生活環境に影響をもたらしている(18〜19ページ参照)。事態を改善するために、県では毎年、水草の除去・刈り取り作業を行い、回収した水草を2〜3年をかけて堆肥化している。堆肥化に年単位の時間を要するのは、水草には琵琶湖の水草、活性酸素で 短時間に堆肥化2段階でOHラジカル生成、細胞膜を分解

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