コンバーテック2021年12月号プレサービス
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図3 テラヘルツ測定の光学系(集中型)図4 テラヘルツ測定の光学系(平行型)サンプルサンプル光源光源ショットキーバリアダイオード(透過光検出)ショットキーバリアダイオード(透過光検出)フッ素樹脂レンズフッ素樹脂レンズハーフミラー(シリコンウエハ)フッ素樹脂レンズフッ素樹脂レンズショットキーバリアダイオード(反射光検出)ハーフミラー(シリコンウエハ)フッ素樹脂レンズフッ素樹脂レンズショットキーバリアダイオード(反射光検出)3.5 含水率の定評評価 極性液体である水分子による吸収は大きいので、非極性物質であるコンクリート構造物内部のひびに分布する水が増感剤となり、高い感度で検出ができる。さらに、コンクリートの表層10 mm程度領域における、0〜10%の含水率が検出できる。図2(d)は室温のコンクリート試験片について、反射率と透過率を同時に測定して得られる吸収係数とコンクリート含水率の関係である。含水率が10%までは水和水による吸収が測定され、10%を越えると自由水により吸収が急激に増加することが分かり、この相関に基づく表面含水率の非接触計測が可能である。きる。GUNNダイオードおよびIMPATTダイオードと比較すると、トンネル効果により電流を注入するため、雑音が少なく高い周波数での動作が可能である。最近では、共鳴トンネルダイオード(RTD)において基本波発振周波数が1 THzを越える光源が実現している。 テラヘルツ波の検出器として低周波領域に有効なSBDのほか、室温で動作する焦電型検出器と液体ヘリウム冷却で冷却するボロメータがある。焦電型検出器は重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)のテラヘルツ波による自発分極の変化を読み取るものであり、室温で動作するが、ボロメータに比べて感度が低い。他の検出器として、東京工業大学の河野研究室において高密度・単層カーボンナノチューブ膜を用いるフレキシブルかつウェアラブルな検出器が開発されており、機械的な柔軟性を兼ね備えた2次元検出器として注目されている。4.2 レーザ光源を用いる計測系 レーザを励起光源とするテラヘルツ計36コンバーテック 2021. 12Spotlight4.テラヘルツ測定4.1 ダイオード光源を用いる計測系 周波数固定の室温動作小型光源であるダイオード発振器を用いるテラヘルツ波非破壊検査に用いる光学システムの1つを図3に示す。フッ素樹脂レンズで集光するテラヘルツ波をサンプルに対して垂直に入射し、同じ光軸に反射するテラヘルツ波をショットキーバリアダイオード(SBD)により検出する。周波数が低いと波長が長いが、カメラでいう絞りに相当するアパーチャーを用いると、空間分解能を高めることができる。ハーフミラー位置でテラヘルツ波を集光させる集中型(図3)はアライメントが容易なだけでなく、省スペースかつ安定性があるが、図4に示す平行ビームは遠方における計測が可能となる。 低周波領域における固定周波数の発振器として我々の研究グループが使用しているものはTUNNETTダイオードのほか、GUNNダイオードとIMPATTダイオードがある。TUNNETTダイオードはトンネル注入走行時間効果負性抵抗ダイオードのことで、1958年に西澤により提案され、1968年に実現されたもので、30 GHzから3 THzの周波数帯で発振で特集特集

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