コンバーテック2021年12月号プレサービス
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ウェアラブルセンシングミツフジ㈱コンバーテック 2021. 1285(本体17,000円+税10%)、送料別〜次世代機能紙とその垂直連携に向けて〜発行:2017年2月1日体裁:A4判 350頁定価: 5,500円 (本体5,000円+税10%)、送料別www.ctiweb.co.jp/store/詳細、購入はWEBサイトにて!▼hamon bandお客様の要望から課題を把握し、解決するためには今ある技術をどのように近づけて製品化していくのかを重要視しています。現在の着衣型ではまだ課題が多くあり、また日常生活で着続けられる汎用性を持たせるためには、拘束感のないウェアでありながら、快適な着心地と正確な生体情報を取得することが求められます。センシング精度をさらに上げるためにAGpossの改良も必要ですし、並行して、hamon bandのように着衣型に限らない新たなWSDの研究開発も進めていきたいと考えています」。機能紙最前線 脈波から深部体温を計測 今年5月に発売した、hamonの技術を内蔵したリストバンド型WSD「hamon band」では、手首に着けるだけで熱中症のリスクを事前に検知することができる。熱中症のリスクを測るには様々な指標があるが、その1つとして38.5℃以上の深部体温(体の中心部の体温)の上昇変化がある。深部体温は表面温度と異なり、なかなか自身で測ることが難しい。また38.5℃の数値に達した時点では重症化してしまうケースがある。ミツフジでは、着衣型で培ったセンシングとアルゴリズム技術をリストバンド型に応用することで、世界で初めて脈波から深部体温上昇変化の推測に成功した。「産業医科大学との実証研究で、hamonのウェアから取得する心臓の心拍データと、深部体温が上昇する際の変化には相関性があることを見出し、これを推定するアルゴリズムを2年かけて共同で開発しました。このアルゴリズムを手首の脈波データに置き換えることで、手首につけるだけで深部体温の上昇変化を推定し、熱中症の元となる暑熱リスクが事前に分かるhamon bandが誕生しました。実際の性能を確かめるために、前田建設工業㈱様や当社の社員が参加し、建設現場と同様の人工的な暑熱環境下で体に負荷をかける実証を行いました。このような実証試験を繰り返し、hamon bandの精度を確認することで、自信を持ってお客様に提案できる商品になりました」(蒲生氏)。 hamon bandにはこれまでhamonウェアを着用して健康管理や見守りを行ってきた多くの顧客の意見が反映されている。実際の工場ではウェアを着ること自体が熱中症のリスクにつながるとの指摘や、暑くて着るのが苦痛、現場環境によっては通信が途絶えるなどの課題があり、もっと手軽に見守りをしたい、熱中症を防ぎたいという声を受けて、リストバンド型の開発を始めたという。「当社では商品開発に欠かせないフィルム・シート、機能性材料2018発行:2018年2月9日体裁:A4判 532頁定価: 18,700円 異業種との共創でアクション促進 日本でのWSD市場拡大について、「当社はこれまでは①正確な生体情報をセンシングする、②センシングしたデータを解析する、③解析したデータを元に指標としてアラートを出す、という3本柱に特化して事業展開をしてきました。しかし今後さらに重要なのは、出たアラートに対してアクションを促すことです」と蒲生氏は語る。 アクションを起こすためには、多種多様な業界の参入による共創で新たな付加価値を生む必要があるという。「それぞれの強みを出し合いながら市場展開していくことがWSDの発展に寄与すると考えています。例えば、熱中症のリスクのアラートが出た際に、塩分のある飴やスポーツドリンクをとるなどのアクションを起こせば、リスクを低減できる可能性が高まります。例えば、食品メーカーや飲料メーカーとコラボすることで、アラートが出た際にそうした行動を促す商品やクーポンなどが提示されたら、お互いの企業にとって社会課題の解決になるだけでなく、何よりお客様の命を守ることにつながります」。 「WSDは今後、正確な生体情報を活用してその日の体調を予測し、そのデータを見て、今日は疲れやすいからリラックスして過ごそうとか、体調を崩すかもしれないから健康的な食事をしようとか、あるいは体調不良を感じたら、それまで蓄積されたデータから症状の原因が分かったり、病気を未然に防ぐことができたりするツールになるかもしれません。このようにWSDには大きな可能性があります。『生体情報で人間の未来を編みとく』という当社の理念の実現に向けて、生体情報を活用したWSDで社会課題の解決に貢献していきたいと思います」と結んだ。

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