コンバーテック2021年12月号プレサービス
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図1  典型的なRTRエッチングラインのロール材料の 投入口(東レエンジニアリング㈱)図2  RTR方式の高速レーザー直接描画装置 (独LPKF社)図3 理想的なRTRプロセスのイメージ図材料送り出しロールプロセス1プロセス2製品巻取ロールルのような表記もある)システムを適用できる可能性があり、量産における大幅なコストダウンが期待されている。 しかし、RTRシステムは、運用上の問題点が少なからず指摘されており、生産性を大きく向上させる可能性を持っているものの、1つ間違えば、スクラップの山を築くことになりかねないリスクをはらんでいる。製品はできたものの、期待したほどのコストダウンが得られず、結果として事業を断念せざるを得なかった例は少なくない。 本シリーズでは、改めてRTRシステムの基礎的事項の解説から始めて、その効果と問題点、また、効率の良いRTRシステムの構築について実例を示しながら、紹介していくことにしたい。さらに、レーザーによる微細加工を導入した、最新鋭の高速自動パターン加工装置などについても取り上げていくことにする(図1,2)。2.そもそもRTRとは 字面通りに解釈すれば、RTRシステムとは、製造ラインの一方からロール状の原材料を投入して、何らかの処理を行い、ラインの反対側から、ロール状の完成品が出てくるという生産システムである(図3)。残念ながら、このような理想的な製造ラインは、現実的ではないといってよい。コンバーテック 2021. 12111DKNリサーチ 沼倉研史1.はじめに 近年、フレキシブル基板の発展形として、フレキシブル・エレクトロニクスへの注目が高まっている。フレキシブル・エレクトロニクスで扱うデバイスは、基材にPETフィルムやPIフィルムのような柔軟性のあるプラスチックフィルム材料を使うので、生産にRTR(Roll to Roll、ロール・ツー・ローフレキシブル・エレクトロニクスとRTR生産第1回 RTRシステムの基本

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