コンバーテック2025年4月号_見本
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CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH 云lコンバーテック 2025. 462手掛けている。 特に、塩化ビニルの特徴を活かしたユニークな製品は、難燃性や塩ビレザーへの接着性が良く、繊維加工分野、接着剤の分野で高い評価を得ている。 一方、市場のニーズの変化に伴い、コーティング材料には様々な機能が求められるようになってきた。バインダーとしての機能でいうと、耐水・耐薬品性、密着性、柔軟性などが挙げられる。それ以外にも、コーティング後の意匠性への要求の高まりから、顔料などの「分散」との関わりも問われるようになってきている。さらには、コーティング表面の親水性・撥水性・滑性など様々なニーズが出てきた。 本稿では合成樹脂エマルジョンの特徴を「分散」「耐性(耐アルコール性・耐可塑剤性)」「濡れ性」「摺動性」という面から紹介する。から、2つの製品を紹介する。2.1 分散と耐性機能 塩化ビニル系共重合樹脂エマルジョンである「ビニブラン700」シリーズは、「分散」「耐性」に優れた合成樹脂エマルジョンである。開発経緯として、塩化ビニル系樹脂は発色性に優れることから溶剤系インキ分野において採用実績が多いが、合成樹脂エマルジョンは水系であり、特に塩化ビニルを使用すると次のような課題があった。①塩化ビニル樹脂の被膜形成温度が高い②アクリルモノマーとの共重合性が低い1.はじめに 当社では、1968年から合成樹脂エマルジョンの製造・販売を2.合成樹脂エマルジョンの概要と塗膜性能 当社で多数ラインアップしている合成樹脂エマルジョンの中③界面活性剤使用量が多い 塩化ビニルホモポリマーにおいて被膜形成温度は100℃以上となり、一般的なコーティング用途における乾燥温度にマッチしていない(①)。高沸点溶剤などを使用して被膜形成温度を下げる手法はあるが、乾燥温度が低いため、乾燥に時間がかかる。別の手法としては、アクリルモノマーと共重合するなどの手法があるが、塩化ビニルモノマーはアクリルモノマーとの共重合性が低い(②)。また、合成樹脂エマルジョンを形成するためには、多量の界面活性剤を使用する(③)。 これらの課題のため、従来の塩化ビニル系合成樹脂エマルジョンでは、残存する界面活性剤が耐水性を悪化させ、コーティング面が滲むなどの現象が起こる。 解決するための手法としては、一般的に反応性界面活性剤を使用する方法、高分子量タイプの界面活性剤を使用する方法がある。 前者は、②と同様塩化ビニルとの反応性が低いことが多い。また重合が成立したとしてもエマルジョンの粒子径は粗大化するという問題がある。粒子径が粗大化すると、透明性が悪化しコーティング剤としての適用性が損なわれる。 後者には、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を使用する手法があるが、耐水性を満足させることはできない。 そこで、アクリル水溶液を保護コロイドとして特殊な重合技術によって塩化ビニルを重合した製品が700シリーズである。 イメージ図を図1に示す。従来品は一般的にポリマー粒子を乳化剤で覆っている状態だが、700シリーズはポリマー粒子をアクリル粒子で被覆しているようなコアシェル状態となっている。2.2 水系向け樹脂製品の機能性 「ビニブラン701」の特徴は、微粒子である。ビニブラン701の粒度分布と外観を図2に示す。 従来品では外観は白濁状であるが、ビニブラン701は透明水溶液状である。 微粒子であるため、分散助剤として顔料分散性に大きく寄与コーティングSpotlight日信化学工業研究所三田 安啓問い合わせ https://www.nissin-chem.co.jp/support/contact_product/種々な機能を発現する機能性合成樹脂エマルジョン「ビニブラン」「シャリーヌ」の特徴と活用Spotlight特集特集特集特集

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