コンバーテック2025年4月号_見本
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×鯰 ニ×iCCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH CCNVERTECH 図6 プラスチックの資源循環 住友ベークライトは、同社が保有する樹脂配合・共押出多層フィルム加工技術を活かし、ポリエチレン系単一素材で構成されたモノマテリアルフィルム「スミライトCEL」を開発した。リサイクルが容易な包装材として、医療機器包装向けに2025年度中の量産、販売開始を目指す。 現在、幅広く使われている異素材の複合フィルムは、異なる素材を層状に組み合わせることで、軽量化や高い強度、防湿性、保存性などの優れた機能を実現している。しかし、異素材が複雑にスミライト CELの使用例※ 「スミライト」は住友ベークライトの登録商標リアルフィルムを開発した。異素材複合フィルムと同じ使用環境のまま使用でき、医療機器包装のリサイクル化による環境負荷低減が可能である。( 佐藤敦子) 単一素材で構成されリサイクルが容易な、医療機器包装用フィルムコンバーテック 2025. 486マテリアルリサイクルケミカルリサイクルクラッキング液状分解物ケミカルリサイクル油化化石資源バイオマス重合プラスチック原料(モノマー)マテリアルリサイクル使用済みプラリサイクル適性耐熱性成形性耐摩耗性光合成CO2生分解プラごみ耐ピンホール性耐屈曲性ポリエチレン系モノマテリアルナイロン/ポリエチレン1)澤口孝志監修:プラスチックの資源循環に向けたグリーンケミストリーの要素技術,シーエムシー出版(2019)2)I. Vollmer, M. J. F. Jenks, M. C. P. Roelands, R. J. White, T. van Harmelen, P. de Wild, G. P. van der Laan, F. Meirer, J. T. F. Keurentjes, B. M. Weckhuysen:Angew. Chem. Int. Ed., 2020, 59, 15402.3)M. Solis, S. Silveira:Waste Manag., 2020, 105, 128.4)室井髙城ほか:プラスチックリサイクル - 世界の規制と対策・要素技術開発の動向と市場展望 - ,サイエンス&テクノロジー(2021)組み合わされているため、素材を分離することが難しくリサイクルが困難であり、廃棄物として処理される際には、焼却処理となるケースが多い。 同社では、単一素材でありながら、包装材に求められる強度や成形性を十分に有するフィルムの開発を進めてきた。フィルムをポリエチレン系単一素材による構成にすることで、リサイクル性を向上させながら、ターゲットである医療機器包装で重視される耐熱性・易剥離性・耐ピンホール性・熱成形性を備えたモノマテ従来汎用品との相対的な比較の製造が可能となる。塩素系樹脂の混在が問題視されるが、これを克服する技術も開発されつつある。これらの技術によってプラスチックの完全資源循環を構築できる可能性があり、不足する部分はバイオマス資源からのプラスチック原料の生産で補う。プラスチックの製造も全て再生可能エネルギーを利用することで、石油等の化石資源の使用をゼロにすることが可能となる。プラスチックの完全資源循環を達成するには今後、多くの年月がかかると予想される。一挙に解決できる課題でないため、できるところから少しでも環境対応技術を社会実装することが望まれる。<参考文献>“

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