帝人(株)は、このたび、LS-EV(Low Speed Electric Vehicle:低速EV)に特化したオーストラリアのスタートアップ企業であるAEV Robotics社(本社:オーストラリア ビクトリア州、CEO :Julian Broadbent、以後「AEV社」)と、LS-EVの軽量化に向けた共同開発を実施することで合意した。
 近年、環境負荷低減の要請から自動車のEV化が進展しており、将来の自動車像としてCASE*1が唱えられ、MaaS*2といったモビリティを一体化したサービスと捉える新たな概念が登場するなど、自動車を取り巻く環境には大きな変化が予測されている。
 また、都市化の進展に伴う交通渋滞や環境問題、超高齢化社会の進展などに伴い、都市部での高齢者事故の問題や過疎地での交通弱者対策の問題が顕在化している。
 一方、経済産業省が自動車産業の国際競争力強化を目指して立ち上げた「自動車新時代戦略会議」では、2050年のゴールとして「Well to Wheel Zero Emissionへのチャレンジ」が掲げられており、自動車の動力源であるガソリンや電気などの製造過程までを含め評価する世界最高水準の環境性能の実現を目指している。
 こうした中、AEV社は、エネルギー効率の高いEVを実現する基盤技術やノウハウ、およびシンプルかつ軽量なシャーシ、サスペンション、ステアリングなどを開発するエンジニアリング力を有しており、大手自動車メーカーにはない、自由な発想・工法でLS-EVに特化して開発を進めている。
 帝人は、これらを自社の軽量化ソリューションと組み合わせることにより、LS-EVの開発スピードを加速させ、将来のEVに求められる技術基盤を獲得・整備するため、このたび共同開発を実施することとした。
*1 CASE:ダイムラーのCEOであるディーター・ツェッチェ氏が、自動車業界が将来の進むべき方向性として2016年に提唱したもので、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
*2 MaaS: Mobility as a Serviceの略で、情報通信技術を活用することによりあらゆる交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念。
 帝人は、ポリカーボネート樹脂、炭素繊維、アラミド繊維といった高機能素材や、グループ会社のCSP社をはじめとする複合化技術を駆使し、軽量化と強度の最適化に向けて、素材から設計に至るまでの技術開発を進めていく。
 また、軽量化と断熱性の最適化を図る熱マネジメントのノウハウや、EVの仕様に合わせた吸音性の快適性などについても、実車ベースで技術開発を進めていく。
 先に発表した工学院大学のソーラーカープロジェクトへの取り組みなどを通じて得たノウハウや、AEV社のコンセプトカーおよびそこに活かされた技術、ノウハウなどを活用することにより、将来の環境対応車に求められるデファクトスタンダードデザインの確立を目指す。
 AEV社は、交通手段としてのみならず、医療・運送・工業など幅広い分野において高効率EVプラットフォームや自動運転技術の開発を進めており、これらも活かして高効率LS-EVの開発を推進していく。
 両社は、今後約2年間をかけて、要素技術の開発・確立を進めてく。
 帝人は、7月17日~19日にポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で開催される「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」でAEV社のコンセプトカーを展示するのをはじめ、将来のEVに求められる顧客ニーズを探索していく。
 帝人はこのたびの共同開発により、将来のEVに求められる設計・素材選定を含むデザイン力を獲得し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指して、モビリティ分野におけるソリューション提案力を強化していく。