2021 09 13 toshiba (株)東芝は、新たな成膜法を開発することにより世界最高(*1)のエネルギー変換効率(*2)15.1%を実現したフィルム型ペロブスカイト太陽電池(*3)を開発した(写真右:1ステップメニスカス塗布法を用いて作製した大面積フィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュール)。同社は、2018年6月にペロブスカイト太陽電池として世界最大(*4)サイズ(703cm2, (*5))のモジュールを開発したが、今般、この世界最大サイズを維持しながら、成膜プロセスの高速化と変換効率の向上に成功した。15.1%は、現在普及している多結晶シリコン型の太陽電池のエネルギー変換効率に相当する。また、フィルム型ペロブスカイト太陽電池は軽量薄型で曲げることができるため、従来は設置ができなかった強度の弱い屋根やオフィスビルの窓など多様な場所に設置することができる。例えば、エネルギー変換効率15.1%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、東京都23区内の建物の屋上および壁面の一部に設置した場合、原子力発電所2基分(東京都23区の家庭内年間消費電力量の2/3相当)の発電が見込める(*6)。
 今回新たに開発した成膜法は、従来2段階(2ステッププロセス)で行っていたペロブスカイト層の成膜を、1段階(1ステッププロセス)で行うもの。2ステッププロセスは成膜プロセスの高速化とペロブスカイト層組成の均一化に課題があったが、インク、成膜プロセスおよび装置の開発を行うことで、大面積に均一塗布することが可能な1ステッププロセスの成膜技術を確立し、成膜プロセスの短縮を実現した。また、本技術は、塗布速度も高速化が可能であり、5cm角のセルでは、量産時に必要と想定されるスペック(*7)を満たす6m/分の塗布速度を達成しており、大面積の成膜プロセスでの更なる高速化が見込める。同技術により、従来困難であった生産プロセスの高速化とエネルギー変換効率の向上が両立できるため、発電コスト低減への貢献も期待できる。
 同成果の詳細は、2021年9月10日からオンラインで開催される第82回応用物理学会秋季学術講演会にて発表された。
 同社は、独自のメニスカス塗布印刷技術により、これまで、世界最大サイズである703cm2でエネルギー変換効率14.1%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発しているが、実用化に向けて更なる変換効率の向上や低コスト化が求められている。

*1 プラスチック基板で構成される受光部サイズ 100cm2以上のフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールにおいて、当社調べ(2021年9月10日現在)
*2 太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する効率
*3 光吸収層がペロブスカイト結晶で構成されている太陽電池
*4 同社調べ(2021年9月10日現在)
*5 受光部サイズは、24.15cm×29.10cm(702.765cm2)
*6   同社調べ 23区内の総屋根面積(164.9km2
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/69/581/69_KJ00004229303/_pdf)をもとに試算。屋上への設置のみで原子力発電所2基分が発電できると見込める。