SABICは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)をベースとしたホットキャスト・ポリウレタン(PU)の性能を大幅に高める「NORYL(tm) AP2001G」芳香族ポリオールを発表した。NORYL AP2001Gポリオールは、キャストPUの硬度、靭性、剛性といった各特性を大幅に向上する重合調整剤であり、NORYL AP2001Gを用い1,4-ブタンジオール(BDO)で硬化したMDIは、MOCA(4,4'-メチレンビス(オルソ-クロロアニリン))で硬化させたトルエンジイソシアネート(TDI)およびPTMG PUに比べて、同等またはそれ以上の性能を発揮する。
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 近年、EU(欧州連合)においては、高懸念物質(SVHC: Substances of Very High Concern)としてのMOCAの使用に対する監視が厳しくなっており、このため多くのPUメーカーではMDI-BDOなどへの代替が進められている。しかしながら、既存のMDI-BDOシステムは、TDI-MOCAシステムに比べて機械的および化学的特性が低いなど、性能上の課題を抱えている。SABICのMDI-BDOシステム向けNORYL AP2001Gポリオールは、高懸念物質の問題と既存材料の性能不足の課題の双方に対応可能な製品であり、PUメーカーにTDIの代替ソリューションとMOCAの使用低減もしくは不使用を提案する。
 SABICのシニアビジネスデベロップメントマネージャーであるAntonello Cerullo博士は、「メーカーが高懸念物質からの脱却を始めるにあたり、SABICとしてお客様のサポートをさせて頂く必要があると考え、私たちはTroy Polymers社と協力し、MDI-BDOシステムに向けた新しいNORYLポリオールがもたらす性能上のメリットを検証しました。SABICの革新的な重合調整剤によって、お客様はMOCA硬化に課せられているより更に厳しい制限をクリアできると同時に、TDI-MOCAおよびMDI-BDOと同等もしくはそれ以上の成果を達成できます」と語る。

MDI-BDO PUと比較した性能特性の検証
 SABICは、米国ミシガン州マディソンハイツを拠点とする大手研究開発ラボのTroy Polymers社と協力し、NORYL AP2001Gポリオールを調合したPUサンプルを作成し、多岐にわたるテストと検証を実施した。その結果、NORYL AP2001Gポリオール(5.6%調合)が、MDI-BDOキャストPUのいくつかの特性を改善することが明らかになった。SABICの重合調整剤は、靭性を最大30%、引張破断強度を最大26%、破断伸度を最大8%、ショアD硬度を最大1.4ポイント、それぞれ向上させることが示された。
 また、この検証によって、NORYL AP2001Gポリオールが最高70℃までの高温環境で硬度と靭性を強化できることが明らかとなり、これによって石油やガスの探査、ガスケットや採掘といった、過酷な条件下においてMDI-BDOキャストPUを使用できる可能性が示された。
 加工性の点では、NORYL AP2001Gポリオールをプレポリマー(重合反応を途中で止めた中間生成物)に添加した場合、キャストPUはMDI-BDOシステムよりも長いポットライフ(可使時間)を示している。検証方法と結果の詳細は、こちらからダウンロードできる。
 Troy Polymers社のリサーチディレクターであるAisa Sendijarevic博士は、「当社は、ポリウレタン・ソリューションに関する豊富な経験に基づいて、MDI-BDOシステムをベースとしたSABICのキャスト・ポリウレタン向けNORYL AP2001Gポリオールのメリットを検証しました。MDI-BDOテクノロジーは、いくつかの用途でTDI-MOCAを置き換えることができますが、さらにNORYL AP2001Gポリオールを添加することによってMDI-BDOの性能は大幅に改善し、高懸念物質を含まない代替製品を提供することができます。当社の検証結果では、このSABICによるポリオールがキャスト・ポリウレタンの性能を向上させるとともに、規制への準拠をさらに推し進めることができる可能性を示しています」と話している。