2022 05 12 schaeffler 自動車および産業機械のリーディングサプライヤーであるシェフラーは、サステナブル技術で世界をけん引するJohnson Matthey(ジョンソン・マッセイ)社、プロトン交換膜(PEM)電解槽向け多孔質輸送層サプライヤートップのBekaert(ベカルト)社、水素分野で世界有数の独立系研究機関であるTNO社の3社と提携し、セルスタック部品の最適化による高効率な電解システムを開発する。それぞれの分野で業界屈指の技術力を誇る4社によるコンソーシアムは、次世代技術の早期実現を可能にし、均等化水素製造原価(LCOH)の低減と部品効率の向上を達成する。同コンソーシアムは3年間を活動期間として共同研究を行う予定。(写真:より経済性に優れた再生可能水素の生産を目指し、シェフラーはパートナー各社との協力でPEM電解槽スタックの性能向上に寄与するコンポーネントの研究開発を行っている
 CO2排出量実質ゼロを目指す「ネットゼロ」達成に向けてさまざまなシナリオが模索される中、再生可能な水素は、そのすべてのシナリオにおいて重要な役割を担うと期待されている。特にCO2排出削減が困難とされる(hard-to-abate)産業の脱炭素化には不可欠と考えられる技術である。電解法は、水と再生可能エネルギー由来の電力を使って水素を製造する技術で、「ゼロエミッション電源」実現の鍵になると目されている。国際再生エネルギー機関(IRENA)が発表した地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えるためのシナリオでは、2050年までに整備されるべき電解槽容量は5000GWと予想されている。これは世界の電力需要の12%を供給するのに十分な水素量である。この予想を現実のものとするためには、技術革新と新技術の実装を加速することが必須となる。
 今回、シェフラーをはじめとする4社で発足した同コンソーシアムの目標は、電解スタックの主要構成部品を最適化し、プロトン交換膜(PEM)技術の開発を促進することにある。この開発を足掛かりに、最終的には次世代型PEM電解槽の開発へとつなげ、省電力化、水素生産の低コスト化、設備の小型化を目指す。また、今日一般的に使用される電解槽には効率化向上のために希少元素や部材が使用されているが、同コンソーシアムではこうした部材の効率的な利用についても調査を行う予定。
 この目標を達成するために、同コンソーシアムは3年間を活動期間として共同リサーチプログラムを実行し、高効率で優れた耐久性と低コスト性を実現する次世代電解槽の基礎技術を構築する。この活動は、2014年にオランダ政府の提唱で発足した企業主導型の共同イノベーションプログラム「VoltaChem」の一環。同プログラムは、クライメートニュートラル(気候中立)の達成を加速するため、化学産業、エネルギー産業、機械装置サプライヤーおよびそのライセンサーなどのを支援することを目的としている。
 「環境に優しいグリーン水素を高い競争力で生産することを目指し、当社のPEM型水電解槽に関する経験と開発力で、国際的に活躍する企業各社とのチームに貢献できることを大変うれしく感じています」とシェフラーの戦略的事業部門水素担当シニアバイスプレジデントのベルンド・ヘターシャイト氏は述べている。さらに、「エネルギー移行の実現に向けた取り組みを加速化することは、シェフラーが戦略の柱の1つに据えるものです。また、当社は高い競争力を持った拡張性のある電解スタック生産プロセスの迅速な増強に向け‘ロードマップ2025’を策定しており、ここにおいても早急なエネルギー移行の達成が重要な要素の1つとなっています。世界トップの企業と共に参画する次世代電解槽の共同研究は非常に将来有望なプロジェクトであり、電解槽技術を大きく前進させると強く確信しています」と述べる。
 シェフラーをはじめ、ベカルト社、ジョンソン・マッセイ社、そしてTNO社によるこのコンソーシアムは、各社一致協力のもと、共同研究を行う。活動の促進をさらに図るために、この研究プログラムでは参加企業を募集している。

パートナー企業各社のコメント:
TNO社 エネルギー移行部門マーケットディレクター リチャード・ブラール氏
「TNOは地球温暖化の問題に真摯に取り組んでいます。今必要とされるのはイノベーションの加速、そして新しいテクノロジーの開発です。それを可能にするのが、世界トップの企業が手を携えイノベーションを追求する、この次世代電解槽共同研究プログラムだと考えています。独立研究機関であるTNOは、電解槽技術の知見を集結する触媒としてチーム間の化学反応を促し、そしてイノベーションの旗振り役として、全体をとりまとめる役割を果たしていきたいと考えています」

ジョンソン・マッセイ社 水素テクノロジー部門マネージングディレクター ラルフ・カルムズ氏
 「エネルギー移行の動きが加速しています。各国政府は‘ネットゼロ’に向けて、意欲的な目標を設定しています。環境に優しいグリーン水素は、まさにカーボンニュートラルなソリューションであり、この共同研究プログラムが、より低コストで信頼性の高い水素生産を可能にする革新的技術を築く好機になると考えています。同コンソーシアムでは、各社が一致協力し、当社が関わる触媒分野だけでなく、PEM技術全体の促進を目標に活動が成されるものと期待しています」

ベカルト社 ファイバーテクノロジー部門 VP インゲ・シルダーマンズ氏
 「ベカルト社は未来の電解槽ニーズに対応する電解槽向け高性能部品の開発に注力しており、これからもお客さまに環境に優しい、持続可能なソリューションを提供してまいります。当社は低環境負荷型燃料電池の開発を目指す‘SUPERCELL’プロジェクトにも参画しており、提携各社と緊密に連携した開発活動を行っています。生産のGW(ギガワット)クラスへのスケールアップに向け、技術革新の努力を続けていきます」

VoltaChemプログラムディレクター マルタイン・デ・グラーフ氏
 「VoltaChem参加企業各社とともに、私たちは水電解‘Power-2-X’技術のイノベーションの促進と実装を図り、化学工業のCO2排出量の削減を目指しています。VoltaChem参加メンバーが自らの野心的な目標達成に向け手を携え、グリーン水素生産技術の飛躍的向上を目指し、サステナビリティ市場で唯一無二のポジションを確立しようと活動の幅を広げることは素晴らしいことだと感じています。先端技術によるサステナブルなプロセス産業の次世代を切り開く、そのスタートラインに立ったのだと期待しています」