東芝エネルギーシステムズは、イギリスの電力分野の慣性注1測定技術を持ったスタートアップ企業「Reactive Technologies Ltd」への出資を行った。東芝エネルギーシステムズは、今回の出資および投資先企業との関係強化を通じ、より付加価値の高い安定的なグリッド運営に資する製品・サービス提供の検討を進めていく。
 昨年政府が閣議決定した「第六次エネルギー基本計画」において日本の電源構成比率は、再生可能エネルギーの比率が急速に高まり、2030年度には36%~38%を占める重要な電源となる。

 再エネの発電量増加に対し、消費電力とのバランスを一定に保つためには、火力発電機などの大型同期発電機の運転台数を減らす必要がある。それにより慣性の接続量が低下する。慣性の接続量が低下すると、系統事故等における安定性が損なわれ、最悪の場合、大停電が発生するリスクがある。
 このため送配電事業者から、既存の電力系統の中での慣性を測定するニーズが高まっている。
 今回出資を行う「Reactive Technologies Ltd」は、2010年に創業し、慣性の測定に関して世界で初めて直接的な慣性の測定ができる技術を開発し、再エネの導入が進んでいるイギリスを始め、数多くの国で送配電事業者向けにサービスを提供している。Reactive Technologies Ltdのサービスはリアルタイムで直接的な慣性の測定ができる点に定評があり、事業を急速に拡大している。

 東芝エネルギーシステムズは今回の出資を機に、同社の送配電事業におけるサービス・製品をより競争力のあるものとすべく、「Reactive Technologies Ltd」の事業化を検討している。
 カーボンニュートラル社会をスピード感を持って実現するためには、同社が持っている技術・知見に加え、他社との共創が必要である。このような中同社はCVC(コーポレートベンチャーキャピタル注2)機能を強化し、エネルギーマネジメントを含む、広くカーボンニュートラルに資するスタートアップ企業への出資や提携を積極的に進めている。

注1: 電力系統における同期発電機に備わる電力系統の瞬間的な変動に対応する調整能力のこと。系統慣性ともいう。太陽光や風力発電ではパワーコンディショナーで直流から交流に変換しており、回転エネルギーを持っていない。このため、再エネの導入拡大により、慣性の接続量が低下する。
注2:主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行うことを目的に、事業会社が自己資金で組成したファンドのこと。独創的な技術やアイデアを持ち、かつ自社の事業と関連のある企業に投資することで、本業との相乗効果を得ることを目的に運営される。オープンイノベーションの一手段。