東洋エンジニアリングは、KELLOGG BROWN & ROOT LLC(President CEO Stuart Bradie、以下、KBR)と、7月26日付でKBRが保有するHydrogen from Ammonia Cracking Technology (アンモニア分解技術からの水素製造、以下H2ACT℠)の商業化推進に関する覚書 (Memorandum of Understanding) をEPC(Engineering, Procurement and Construction)パートナーとして初めて締結した。
低炭素社会の実現には水素エネルギーの役割が重要であり、CO₂フリー水素バリューチェーンの構築が必須。水素エネルギーの主なキャリアとしては、アンモニア以外にも液化水素、有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン)が挙げられるが、アンモニアの利点として、運搬や貯蔵の容易さに加えて、アンモニア火力発電などでの直接利用に加え、アンモニアを分解して水素を取り出し水素発電や燃料電池自動車(FCV)へ適用するなど用途の広さが挙げられる。
当該技術による設備を主にアンモニアの受入基地に併設し、アンモニアを分解して水素を取り出すことで、将来の水素エネルギーの社会実装*1を早めることが期待される。
KBRは世界トップシェアのアンモニア製造プロセスライセンサーとしての高い技術力を保有している。また、東洋エンジニアリングは55年に亘る同社技術プラントの建設・運転実績に豊富な経験・技術知見を保有*2している。両社の優位性を生かすことにより、カスタマイズされた高い効果が得られる技術解決案の提案、総合的なプラント建設力を発揮できることから、共同してH2ACT℠の商業化導入を推進すべく今回の覚書締結に至った。
<各社の役割>
KBR:ライセンサーとしてH2ACT℠の最適設計実施
東洋エンジニアリング:H2ACT℠商業機の詳細設計とEPC
東洋エンジニアリング & KBR:社会実装に向けた顧客開拓
H2ACT℠ は “Ready to license and guarantee today”(「今日現在でライセンス供与と性能保証が可能」)とKBRは明言している。東洋エンジニアリングとKBRは、H2ACT℠の更なる商業化推進のため、顧客開拓活動も含めて覚書を締結した。
東洋エンジニアリングとKBRは、今回締結の覚書を通して、H2ACT℠技術の社会実装を推進することで、脱炭素社会の実現に貢献する。
*1 国内においては、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に基づき、水素の国内導入量を2030年で最大50万トンとする目標が定められている。また、「水素基本戦略」が改訂され2040年の水素供給量の目標は年間1,200万トンとなっており、水素製造技術の開発、社会実装が課題となっている。
*2 東洋エンジニアリングはKBRと55年に渡る協業体制を構築しており、全世界で87基のアンモニアプロジェクト実績があり、豊富な技術知見を有している。アンモニア合成技術に加え、アンモニア分解技術を両社の協業対象に加えることで、水素も含む燃料アンモニアバリューチェーンの構築に貢献する。