巴川製紙所は、自然環境への配慮と空間環境の最適化に貢献する持続可能な社会の実現に向けたソリューション「グリーンチップ」ブランド製品の開発、拡充を進めている。巴川製紙所とエフピー化成工業が共同開発したセルロース繊維配合樹脂「グリーンチップ CMF」の難燃性を付与した製品が、島津製作所の分析計測機器に2023年11月より採用された。分析計測機器に「グリーンチップ CMF」が採用されるのは初めてのこと。
「グリーンチップ CMF」は、ポリプロピレン樹脂に植物由来のセルロース繊維を配合しているため、石油由来樹脂の使用量を抑えられ、CO2排出量削減につながるサステナブル素材。また、セルロース繊維は強化材になるため成形製品を薄く、軽量にすることができる。しかし、分析装置などの電気機器は安全性の観点から燃えにくいことが望ましいため、難燃性を付与した製品を開発する必要があった。石油由来であるプラスチックや植物由来のセルロースは可燃性であるため、難燃性を付与することは困難で、島津製作所と巴川製紙所、エフピー化成は、一定の強度を保ちつつ難燃性を付与した製品を3年がかりで開発してきた。そしてこの度、島津製作所が11月下旬から出荷する液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」の構成ユニット15種類に難燃性を付与した「グリーンチップ CMF」が採用された。
巴川製紙所は、現在は、ポリプロピレン樹脂にセルロース繊維を配合した製品をラインナップしているが、今後は、ポリエチレン、ポリ乳酸、ABS、ポリカーボネート、ゴム系素材等に配合することで機能向上や用途の拡充、様々な業界での採用を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献していく。
<「グリーンチップ CMF」の特長>
(1)環境対応
・紙の原材料であるセルロース繊維の高配合が可能
・石油由来樹脂の使用量を削減=減プラが可能
・CO2排出量18%削減(セルロース繊維55%配合品、同社による試算)
・リサイクルしても強度の減衰が小さい
(2)機械特性
・強度、耐熱性が向上、成形品の軽量化が可能
・寸法安定性が向上(低収縮率)
(3)成形性
・樹脂の流動性が良好でお使いの金型でも使用可能
・PP樹脂以外の樹脂でもコンパウンドが可能
・独特の風合いを生かした意匠性