NOKのグループ会社である日本メクトロンは、身体にフィットしながら通電性を持つフレキシブルプリント基板(FPC、*1)、「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」をヤーマンと共同開発した。
 日本メクトロンでは、同社の牛久事業場(茨城県牛久市)に「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」を月間10万個の製造が可能な体制を今年8月より整え、今後のヘルスケア領域の拡大に向けた量産体制に対応している。
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伸ばした状態のハイドロゲル付きストレッチャブルFPC(イメージ)

 「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」は、全方位に150%まで伸長しても通電できるストレッチャブルFPC(*2)の全面に、高い保水率を持つハイドロゲルを貼り合わせたもの。日本メクトロン独自の加工技術で、伸縮性のないハイドロゲルもストレッチャブルFPCの隅々まで追随する。これにより、接続するデバイスからの電力を、複雑な曲面を有する人体にも効率よく伝達することが可能となった。
 また、「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」は、1mmの厚さのハイドロゲルを採用し、独自のプレス加工技術により、複数回利用しても快適に利用することが可能となった。通常、厚みのあるハイドロゲルは粘着性が強く、複数回使用できるメリットがあるが、一般的なプレス(打ち抜き)加工を行うと断面からハイドロゲルが漏出してしまい、使用時の不快感に繋がっていた。日本メクトロンは、この課題を解決し、ヘルスケア、美容用途など、直接肌に触れる部分にも快適に使用していただくことを可能とした。
 2023年日11月13日、「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」を採用した美顔器「デザインリフト」がヤーマンより発売された。「ハイドロゲル付きストレッチャブルFPC」の特性を活かし、引き上げるように装着することで、眼輪筋へのアプローチを効率良く行う。
多層FPC
*1 フレキシブルプリント基板(FPC)について
 プリント基板の一種で、ポリイミドフィルムと銅箔を貼り合わせ層にすることにより、電子機器の中で電線としての役目を果たす。厚みは0.1mm程度と薄く、軽量かつ柔軟性と耐久性を併せ持つ。屈折した部位やわずかな隙間にも配置でき、小型化・軽量化・薄型化に寄与する。
 日本メクトロンは、FPCの国内トップメーカーであり、その製品はスマートフォンやハードディスクドライブ、電気自動車のバッテリー等に使用されている。
*2 ストレッチャブルFPCについて
 ストレッチャブルFPCは、通常のポリイミドフィルムではなく、薄い通気性のあるフィルムと生体安全性を備えた日本メクトロン独自の粘着剤を採用。人の身体にしなやかに密着する。脳波や心電などを取得する電極シートとして計測器に繋げて使用することが可能。さらに、EMS機器に繋ぐと、筋肉に電気刺激を効率よく与えることができる。日本メクトロンでは、2019年より、脳波計測に使用するストレッチャブルFPCを量産している。

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ストレッチャブルFPC(サンプル/全長11cm)
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伸ばした状態のストレッチャブルFPC