ウェブハンドリング技術研究会
編著
B5判
216頁
発行日:2020年4月1日
ウェブハンドリングとは、薄く柔軟な連続媒体(ウェブ)を張力によって搬送し、印刷や塗工、ラミネート、乾燥といった様々な加工工程を経て最終製品に仕上げる際に、ウェブの破損や損失を生じることなく安定した搬送を達成するための科学技術です。東海大学・橋本
巨教授の著作『ウェブハンドリングの基礎理論と応用』『入門ウェブハンドリング』(加工技術研究会刊)により、コンバーティング業界において、その重要性は広く知られるようになっています。
本書は、ウェブハンドリングを学び、実際の生産活動に応用することを志す技術者の道標となるべく企画されたものです。橋本教授が会長を務めるウェブハンドリング技術研究会で研鑽を積んだ会員企業による、ウェブハンドリングに関するさまざまな技術的取り組みをまとめました。具体的には、「しわ・スリップ・搬送」「巻取」「制御・モデル化」の各テーマについて、ウェブハンドリングを生産現場の課題改善に応用し、安定的な生産性の確立やトラブル解消などに役立てた事例がふんだんに盛り込まれています。また、しわ取りローラ等の関連機械・装置
および、蛇行抑制といった制御技術についての解説も充実しています。
「勘やコツといった経験的知見に基づくのではなく、橋本教授の両著で示された理論をベースとしたアプローチで製造欠陥に対応したい」と願う技術者に対し、得難い指針を提供できる1冊となっています。
第1章 ウェブハンドリングの進展と未来展望
東海大学
工学部 機械工学科 准教授 砂見雄太
第2章 企業におけるウェブハンドリングの実践
しわ・スリップ・搬送
●液晶用光学フィルムにおけるローラハンドリング技術(富士フイルム
疋田伸治)
●ウェブハンドリング理論の実機への展開(富士機械工業
西村高博)
●スリップの実践的な対策(藤森工業
本間義晃)
●生産機におけるウェブとローラとのスリップについて〜スリップ開始速度の検証〜(大倉工業
前原誠二)
●ウェブのしわ発生とその抑制について(大倉工業
川田幸司)
●フィルム搬送時のしわを抑制するマイクログルーブローラ(渇チ貫ローラ製作所
門脇丈滋)
●機能性ゴムローラによるしわ抑制の実際とメカニズム考察(明和ゴム工業
藤井 直、岡 稔)
巻取
●ウェブハンドリング理論を利用した巻取装置(富士機械工業
森川 亮)
●巻取欠陥の発生メカニズムと欠陥を回避する巻取条件の設計手法(富士フイルム
山田健央)
●巻取欠陥への理論的アプローチ(元・リンテック
神田敏満)
●ウェブハンドリング理論を利用した粘着テープロール品変形解決事例(且實ェ製作所
池尻真樹、矢部和泉、大塚崇裕) ●シミュレーションソフト「WEBMASTER」を用いた諸問題の改善(藤森工業
本間義晃)
●ウェブマスターを活用した巻取不良改善と物性測定への取り組み(鞄結档Zロレーベル
北村孝志)
●機械メーカーから見た巻取装置設計の基本概念(兜s二鉄工所
楠山哲則)
●小型スリッターにおけるフリクションシャフト技術(鞄倹L
岩田 哲)
●多巻取によるスリット加工の効率化とコストダウンを考える〜巻数と張力/動力の関係および最大巻数の予測方法について〜(潟Cトウ六
伊藤伍郎)
制御・モデル化
●ウェブハンドリング理論と張力制御の実際(潟jレコ
大田吉彦)
●ウェブ搬送プロセスと蛇行の本質(潟jレコ
中村洋三、峯尾 豪)
●Roll
to Roll 搬送システムにおける高精度な張力変動抑制技術(住友重機械工業 安藤高虎)
●企業における「現象のモデル化」の一例
〜UV照射を受けるウェブの伝熱現象〜(大倉工業 藤本清二)
コラム
◆橋本先生との出会いを振り返って(元・富士フイルム
名和野 隆)
◆学者、教育者、そして大学経営者の橋本先生から受けた薫陶(富士フイルム
疋田伸治)
◆感謝と思い出(元・富士機械工業
富永保昌)
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