【SiCパワーモジュール封止材料】住友ベークライト、業界初、固形エポキシ樹脂で世界最高クラスのTg230℃を実現した「G785シリーズ」量産開始
住友ベークライト は、次世代SiCパワーモジュール向けに業界初※となるガラス転移温度 (Tg) 230℃を実現した固形エポキシ樹脂封止材料「EME-G785シリーズ」を開発、量産を開始した。この製品は、従来のエポキシ樹脂では困難とされていた「超高耐熱性」と「低応力性」を高い次元で両立しており、パワーモジュールの小型・高出力化と信頼性向上に大きく貢献する。
※同社調べ
開発の背景
カーボンニュートラル社会の実現に向け、xEVやデータセンター、再生可能エネルギー分野において、電力損失を大幅に低減できるSiCパワー半導体の採用が加速している。しかし、SiC半導体は高温 (200℃以上) での動作が可能な一方、それを保護する封止材料には従来の材料で実現困難な耐熱性が求められてきた。
従来、エポキシ樹脂のTgを200℃以上に高めようとすると、架橋密度が高くなることで弾性率 (硬さ) が上昇し、ヒートサイクルで応力が原因の剥離やクラックが発生しやすくなるという深刻なトレードオフがあった 。そのため、高Tg材料は「Tgの値は達成可能でも、実用化が極めて困難」とされていた。
「G785シリーズ」の技術的特長
(1)Tg230℃の耐熱スペック
「G785シリーズ」は樹脂の主鎖骨格を剛直化し、架橋密度を最適化することで、エポキシ樹脂封止材料として業界最高クラスとなるTg 230℃を達成した。これにより、SiCパワーモジュールの高温動作環境下でも物理的特性が維持され、長期的な絶縁信頼性を確保する。

(2)高Tg化と低応力化というトレードオフの解消
一般的にエポキシ樹脂の高Tg化は弾性率が上昇するというトレードオフが課題だが、「G785シリーズ」は最新の低応力化技術を用いることで、弾性率の上昇を抑制し低応力化を実現した。これによりパワーモジュール内部の歪みを最小限に抑え、チップや基板からの剥離、樹脂自体のクラックを防止する。「硬いのに、しなやか」という最新のパワーモジュールに求められる理想的な物性を実現し、高度な実装信頼性を提供する。
(3)次世代デバイスの小型・高出力化に貢献
高い耐熱性により、シンタリング材や半田を用いた冷却器との接合が可能となり、放熱性の向上に寄与する。結果として、パワーモジュールの小型化(高出力密度化)を実現し、SiCチップが持つ本来の能を最大限に引き出す。
高Tgエポキシ封止材料G785シリーズと従来品比較図


今後の展望
住友ベークライトは、「G785シリーズ」を次世代パワーエレクトロニクスの戦略製品と位置付け、2030年度に売上高100億円を目指す。

