【パラジウム回収】ガルデリア、微細藻類由来バイオ吸着剤を活用した超低濃度回収システムを商用導入
ガルデリアは、微細藻類「Galdieria(ガルディエリア)」由来の貴金属吸着剤を用いたパラジウム回収システムを導入し、本格的に稼働を開始した。
同社は、従来技術では回収が極めて困難だった、強酸性・超低濃度かつスズが高濃度で混在しているめっきの洗浄水からパラジウムをオンラインで回収することに成功した。ガルデリアとして国内初の商用導入事例であり、今回の成功をきっかけに、“廃液”として処理されていた低濃度貴金属を資源化する新たな都市鉱山ソリューションとして本格展開を開始する。
※バイオ吸着剤を用いた、強酸性・超低濃度・スズ共存下のめっき洗浄水からのオンラインパラジウム回収システムとして 同社調べ

「回収できない」が常識だった廃液からの回収を実現
パラジウムは、プラチナなどと同じ白金族の金属であり、自動車部品、電子部品、半導体パッケージなどの製造工程において、めっき皮膜や無電解めっきの触媒として接点信頼性や耐食性を高めるために広く利用されている重要素材。
めっき工程の洗浄水には微量のパラジウムが含まれるものの、濃度が極めて低く(約1mg/L)、スズなどの夾雑物が多く(当社確認条件ではパラジウムの100 ~300倍以上)、強酸性(pH1程度)であるため、既存技術では十分な回収が困難で、多くの場合、未利用のまま排出されるか、排水処理工程でスラッジとして低い価値で処理されてた。
既存の回収技術では、大掛かりな前処理が必要となる、装置設置のスペースが必要となる、めっき工程の変更が必要となるため製品品質への影響が懸念される、などの課題があった。
また、廃液処理は製品製造に直接関わる工程ではないため、めっき企業にとって、複雑な装置を自社で組み込み、運用責任を負うことにはハードルがあり、採用が進みにくい状況もあった。
ガルデリアは、極限環境に生息する微細藻類ガルディエリアが持つ特殊な金属吸着特性を生かした吸着剤に加え、こうした課題を解決する前処理プロセスを自社開発することで、「捨てざるを得なかった」廃液からのパラジウム回収を実現した。
実ラインで稼働を止めずに連続回収を実現し、経済性を向上
柿原工業では、自動車部品向け樹脂めっき工程で発生する洗浄水を対象に本システムの導入を進めてきた。その結果、pH1程度の強酸性、スズ共存という条件下において、製品製造工程に一切手を加えず、限られた敷地面積で、ラインを止めずに連続処理をしながら、約1mg/Lの超低濃度パラジウム回収に成功した。
さらに、パラジウムを吸着した吸着剤は、精錬会社に貴金属原料として販売でき、スラッジとして処理する場合に比べて、より高い価値が見込めることも確認した。これは単なる排水処理方法の改善ではなく 「廃液を資源へ変える」循環型プロセスへの転換を意味する。
新日本電工と連携し、社会実装を加速
このシステムの設計・運用には、ガルデリアの資本業務提携先である新日本電工株式会社のアクアソリューション事業が参画しています。同社の水処理技術と、ガルデリアのバイオ吸着剤技術を融合することで、実工場レベルでの安定運用を実現した。
現在、システムは柿原工業の一部ラインで安定稼働しており、今後は他ラインへの展開も検討されている。
今後の展開
ガルデリアは今後、当社技術の導入を、めっき、電子部品、半導体関連、貴金属精錬、及び宝飾品などの分野へ拡大していく。また、パラジウムに加え、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)など、多様な貴金属・レアメタルへの展開を進め、循環型資源回収インフラの構築を目指す。
各社コメント
株式会社ガルデリア 代表取締役CEO 谷本 肇氏
今回の柿原工業様への導入は、これまで「回収困難で諦めざるを得ない」とされてきた領域で、当社技術が有効に機能することを示した重要な事例となります。
強酸性、超低濃度、スズ共存という難条件下でパラジウムを回収できることは、既存技術では成されなかった、未回収の都市鉱山を資源化する新たな可能性を開くものです。
今後は柿原工業様、新日本電工様との取り組みを起点に、めっき、電子部品、半導体関連分野へ展開し、廃液を資源へ変える循環型インフラの構築を進めてまいります。
柿原工業株式会社 新プロセス開発室 室長 王路 貴史氏
当社が最も力を入れて取り組んでいる分野の一つが地球環境保護です。地球環境にやさしいめっきプロセスの開発は重要なテーマであり、めっき工程の環境負荷低減や資源循環を目指した研究開発を進めています。ガルデリアの技術は、従来回収が難しかった低濃度洗浄水からの貴金属回収に実ラインでの活用可能性を示しました。今後もGX推進の一環として、持続可能なものづくりを加速していきます。
新日本電工株式会社 執行役員 アクアソリューション事業管掌 岡 猛敏氏
ガルデリアとの協業を通じ、当社アクアソリューション事業で長年培ってきた水処理技術とノウハウを活かし、貴金属回収システムの社会実装に取り組んでいます。
今回の柿原工業様での導入は、低濃度・難処理の排水から有価金属を回収する、新たな資源循環モデルの実証として位置づけている。


