【脱炭素化・エネルギー転換】NEDO、イーグリッドとともにタイ・バンコクで電動バイクの電力消費削減を目的とした実証研究開始
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、補助事業である「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の一環として「電動バイクドライバーの運転時行動解析による消費エネルギーの効率化と安全運転の促進実証研究(タイ)」に取り組んでいるが、この度、NEDOはイーグリッドとともに、タイ・バンコクで電動バイクの電力消費削減を目的とした実証研究を開始した。
この実証研究では、GPS・加速度センサーと人工知能(AI)を組み合わせた独自のテレマティクス技術をタイ・バンコク市内の電動バイクに搭載し、走行データを解析しつつ、ドライバーに対してエコドライブを促進する情報を提供し、行動変容を促す。その結果、最大20%の電動バイクの電力消費量削減および交通事故率低下、フリート(複数車両の運用単位)管理コスト削減を目指す。実証研究では、バンコク市内で20台の電動バイクでの走行データ収集・AIモデル構築を進め、その後、2027年に段階的にサービスの商用化と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への展開を目指す。
この実証研究開始にあたり、2026年6月19日に、タイ・バンコクで運転開始式を開した。

背景
タイ国内だけで数百万台規模とされるバイクタクシー・宅配バイクは、都市部では短距離移動や輸送の主役として利用される場面も多く、その台数の多さから、交通安全や環境負荷への影響も小さくない。特に首都のバンコクでは、車両集中による交通渋滞や交通事故、大気汚染が長年の社会問題となっている。電動バイクの普及で交通状況の改善や環境負荷の低減が期待されるが、一方、普及に向けては電力消費量の急拡大に対応するための対策も不可欠。
このような背景の下、実証研究に取り組むイーグリッドは2026年6月よりタイ・バンコクでの実証実験を開始した。
実証研究の内容
実証研究では、GPS・加速度センサーとAIを組み合わせた独自のテレマティクス技術※1をタイ・バンコク市内の電動バイクに搭載し下記の実証を行う。
(1)リアルタイム走行データ収集
GPS・加速度センサー・通信装置で、電動バイク20台の走行データとバッテリーのセルデータを常時収集。収集されたデータは、クラウドへ即時送信、分析基盤に蓄積され、「いつ・どこで・どのように走ったか」が可視化される。
(2)セーフティードライブ診断
急加速・急制動などの、安全運転上の非効率パターンをAIが自動検知し、エネルギー消費との相関とともにドライバーごとにスコア化する。
(3)エコドライブ診断アプリ(ドライバー向けスマートフォンアプリ)
走行後にスコア、ランキング、改善提案をプッシュ通知する。軽快な使用感でドライバーの行動変容を継続的に促進し、個々の改善点を指示しなくても自分から改善するドライバーを育成することで管理コストを削減する。
(4)フリート管理 ダッシュボード(B2B向け管理画面)
運営されるフリート全体の消費エネルギー、安全スコア、コスト削減効果をリアルタイムで一元的に可視化し、経営判断に資するデータを提供する。

実証研究の目標
実証研究では、下記の目標達成を目指す。
(1)電力コスト20%削減
急加速・急制動を低減することで、電動バイク1台あたりの電力消費量を大きく削減する。フリート運営規模が大きいほど効果が拡大する。
(2)事故・故障リスク低下
安全スコアによる行動変容を促すことにより、事故などのトラブルに起因する修理費・保険費・ダウンタイムの同時減少を図る。ドライバー自身の安全にも寄与する。
(3)経営の可視化・意思決定支援
フリート全体の稼働データを一元管理し、管理者がリアルタイムで現場を把握し、的確な指示と改善施策を実行できるようサポートする。

運転開始式
システムの本格稼働を受け、2026年6月19日にタイ・バンコク市内のホテルにて、在タイ日本国大使館関係者、タイ工業省、イーグリッドの本社所在地である島根県をはじめ、日タイ両国の政府・産業界の関係者・現地メディアなどから多数出席のもと、運転開始式を行った。
今後の予定
実証研究において、バンコク市内で20台の電動バイクでの走行データ収集・AIモデル構築を進め、その後、2027年に段階的にサービスの商用化とASEAN各国への展開を目指す。
※1 テレマティクス技術
車両に通信機能を搭載し、リアルタイムで情報を取得・活用する技術を表す造語。


