【データセンター向けナノ粒子分散型高効率冷却液】NanoFrontier、令和8年度「みやぎ環境関連研究開発等支援事業補助金」(開発着手型)に採択
NanoFrontierは、宮城県が実施する令和8年度「みやぎ環境関連研究開発等支援事業補助金」(開発着手型)に採択され、「データセンター向けナノ粒子分散型高効率冷却液」の開発に着手する。
生成AIや大規模GPUクラスタの普及により、データセンター(DC)の電力需要は世界的に急増している。IEAの試算では、2030年の世界のDC電力消費は945 TWh/年に達し、2024年(415 TWh)の約2.3倍、世界電力の約3%を占めると予測されている。このうち冷却は、施設によっては電力の30%超を占める主要な消費要因とされている(IEA「Energy and AI」2025年4月/LBNL 2024)。
この冷却電力を左右するのが、熱を搬送する冷却水の伝熱効率だが、冷却水による伝熱には構造的な課題がある。伝熱面と冷却水の界面近傍には、熱が移動しにくい「境膜(熱境界層)」が形成され、これが熱抵抗となって熱伝達率を低下させる。流速を上げれば境膜は薄くなるが、ポンプ動力の増加を招き、エネルギー効率を悪化させてしまう。
NanoFrontierは、東北大学で30年以上にわたり研究開発されてきたナノ粒子生成・分散技術を基盤とし、冷却水中に分散させたナノ粒子が界面近傍の境膜を破壊・攪乱することで、流速を上げることなく熱伝達率を向上させるアプローチを提案。データセンターの冷却電力削減と、電力由来のCO2排出削減への貢献を掲げた本事業計画が採択に至った。

本事業では、冷却水用途に適したナノ粒子の生成・分散技術の確立と、分散液の熱伝達性能・安定性の基礎評価に取り組む。得られたデータをもとに、実機を模擬した環境での性能評価につなげていく。
期待される環境負荷低減効果
本冷却水は、冷却水そのものの熱伝達性能を高めることで、データセンターの冷却電力の低減を目指すもの。既存の冷却水系統(チラー、CDU、空調機の冷水コイル等)の冷却水を置き換えるかたちで導入できるため、設備の大規模な改修を伴わずに省エネルギー化に寄与できる点も特長。
データセンターの冷却電力の低減は、電力由来のCO2排出削減に直結する。今後、国内外のデータセンターへの普及が進むことで、宮城県内にとどまらず、世界規模での脱炭素社会の実現への貢献が期待される。
※環境負荷低減効果の定量的な評価は、本補助事業で取得する実験データに基づき進めていく。
市場の成長性
水冷(direct-to-chip)の普及を背景に、データセンター向け液冷市場は2026年の40.7億USDから2033年には276.5億USDへ、年平均31.5%で成長すると予測されている(MarketsandMarkets 2026)。NanoFrontierは、この成長市場に向けた製品開発を着実に進めていく。
NanoFrontierの井上誠也代表取締役は次のようにコメントしている。
「みやぎ環境関連研究開発等支援事業補助金への採択を大変光栄に思います。AIの進化を支えるデータセンターは、いまや世界の電力・環境問題の最前線です。東北大学で30年以上蓄積されてきたナノ粒子生成技術を冷却という社会課題に応用し、宮城・仙台から世界のデータセンターの脱炭素化に貢献する製品を生み出してまいります。地元・宮城県の支援を力に、着実に開発を進めてまいります」
■みやぎ環境関連研究開発等支援事業補助金について
宮城県が実施する本補助金は、県内の二酸化炭素排出削減等の環境負荷の低減に資する研究開発等に要する経費の一部を補助する制度。今回採択された「開発着手型(Step1)」は、県内のCO2排出削減に資する研究開発等への着手の取組を対象としている。
