【浮体式洋上風力発電】NEDO、低コスト化に向けて5件の研究開発テーマ採択

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発」において、「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」の研究開発テーマ5件を採択した。
洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて導入拡大が期待されている。特に水深の深い海域が多い日本では、浮体式洋上風力発電の早期の技術確立が重要。
NEDOはこれまで、比較的浅水域となる水深50~100mを対象に、浮体式洋上風力発電システムの低コスト化を図る実証研究および要素技術開発を進めてきた。
「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」では、まだ検証されていない新しいテーマや追加的に検証が必要なテーマについて、浮体式洋上風力発電の商用化と国際競争力の向上を見据え、日本特有の自然条件や社会的条件を踏まえた技術課題を体系的に整理するとともに、今後の導入拡大に資する次世代技術の実現可能性を検証する。
今回採択した研究開発テーマでは、2030年以降のさらなる低コスト化を見据え、浮体式洋上風力発電に関する浮体の製造・施工(3件)、係留の設計・製造(1件)、風車の施工・保守(1件)の次世代技術を開発する。各テーマにおいて、安全性、信頼性、経済性の観点から技術的成立性を評価し、実証研究や将来の商用化に向けた技術課題および研究開発の方向性を整理する。
期間は2026年度~2027年度(予定)。
採択テーマ、実施体制、概要は次の通り。
採択テーマ:TLP型ハイブリッド浮体式洋上風車支持構造物の実用化検証
実施体制:大林組(共同実施先:ユーラスエナジーホールディングス)
事業概要: TLP型※ハイブリッド浮体の実用化に向け、係留設計手法の高度化、大水深におけるサクションアンカー無人化施工、テンドンコネクターの疲労耐久性検証など未解決の技術課題について取り組む。さらに、1MW級風車搭載浮体の実海域実証に向け、設計、施工および電気設備の検討と共に浮体構造の合理化を図り、TLP型浮体技術の安全性・信頼性・経済性を総合的に向上させる。
採択テーマ:光ファイバセンシングを活用した高耐食型鋼製ケーブルによる係留システムの長期モニタリング技術・健全性評価技術の研究開発
実施体制:神鋼鋼線工業(共同実施先:大阪大学、再委託先:ニューブレクス)
事業概要:浮体式風力発電における係留システムのO&M(運転保守)も含めたコスト低減および大量導入に向けた供給力の確保および多様な水深・環境への対応力強化を図る観点から、橋梁等での長期運用実績を有する鋼製ケーブルを用いた浮体式風力発電向け係留システムの開発を行う。高耐食型鋼製ケーブルを用いた係留システムの設計コンセプトを確立し、その有効性を検証するとともに、光ファイバセンシングによる係留監視技術と健全性評価手法を開発し、鋼製ケーブルを用いた係留システムの維持管理の高度化とO&Mコスト低減を目指す。
採択テーマ:コンクリート製浮体の設計・製造・維持管理を通じた低コスト化に資する技術開発
実施体制:大成建設、東京電力ホールディングス、北海道電力
事業概要:コンクリート製浮体の品質・長期耐久性の確保および予防保全を実現させ、浮体製造コストの低減につなげるため、次の検討を行う。①15MW級浮体の製造実証試験を行い、高流動コンクリートの打設方法の最適化、材料特性や変形量の把握、ならびに部材接合部の構造成立性を実寸大モデルにて検証し、得られた知見を基に各種標準化活動を推進する[大成建設] 、②コンクリート製浮体において、海洋環境下で疲労と塩分浸透が複合的に作用する影響を評価し、設計・維持管理計画に反映すべき内容を明確化する[東京電力ホールディングス]、③光ファイバーセンシングによるひび割れ検知技術の適用性を検証し、モニタリングに関する基盤技術を確立する[北海道電力]
採択テーマ:浮体式洋上風力発電の洋上での風車施工技術および大規模修理技術の開発
実施体制:東京電力リニューアブルパワー、日本海事協会、東京大学
事業概要:日本特有の厳しい気象・海象条件における浮体式洋上風力発電の課題解決に向け、タワークライミングクレーンと施工台船を組合わせた洋上での風車施工技術の開発に取組む。これにより、大規模修理において係留・ケーブルの切離し・再接続や風車・浮体の曳航が不要となり、発電コストの大幅な低減に貢献できる。本事業の洋上での風車施工技術について、安全性・信頼性・経済性の観点から実現可能性を評価し、2030年以降の商用案件を見据えて技術課題を整理するとともに実海域実証等の計画を検討する。
採択テーマ:モジュール型浮体に導入するピン結合技術およびグラウト接合技術の開発
事業概要:実施体制:JFEエンジニアリング、清水建設、東京電力リニューアブルパワー、ユーラスエナジーホールディングス、日本海事協会
事業概要:浮体式基礎の低コスト化および量産性の向上に向け、モジュール型浮体に導入するピン結合技術およびグラウト接合技術を開発する。国内製造・施工条件を踏まえ、安全性・信頼性・経済性の観点から、設計および製造・施工品質管理の方法を整理・検討する
※ TLP型
強制的に半潜水させた浮力体と海底を緊張係留ラインで結び、強制浮力によって生じる緊張力を利用して係留する方式。浮体のヒーブ方向の動揺、ロール・ピッチ方向の動揺が抑制される仕組み。

