【岩石風化促進】出光興産、CO2除去事業を展開するInPlanet社への融資実行
出光興産は、100%子会社である出光アメリカズホールディングス(本社:米国・ヒューストン、社長:阿部正憲、以下「IAH」)を通じ、岩石風化促進(Enhanced Rock Weathering、以下「ERW」)※1によるCO₂除去(Carbon Dioxide Removal、以下「CDR」)事業を展開するInPlanet GmbH(本社:ドイツ・ミュンヘン、以下「InPlanet社」)に対し、融資を実行した。今回の融資を契機に、出光興産はInPlanet社の事業拡大を支援するとともに、北米・日本・アジアにおけるCDR市場の開拓、共同プロジェクトの検討、政策・制度面での連携など、幅広い協業機会の創出を目指す。
※1 ERW:Enhanced Rock Weathering(岩石風化促進)。細かく粉砕したケイ酸塩岩を農地に散布し、自然の風化プロセスを促進することで、大気中のCO₂を重炭酸イオンなどの形に変換し、長期間にわたり貯留する手法。

2050年のカーボンニュートラル達成に向けては、CO₂排出量の削減に加え、大気中のCO₂を除去するCDRの社会実装が重要。特に、除去したCO₂を長期間にわたり安定的に固定・貯留できる、耐久性の高いCDR※2への期待が高まっている。ERWはその有望な手法の一つであり、粉砕したケイ酸塩岩を農地に散布することでCO₂を除去するほか、散布先の農地における土壌環境の改善や、肥料・石灰資材の使用量削減といった副次的効果も期待されている。
InPlanet社は、ブラジルの採石場や農家と連携しながら、現地の主要農業地域においてERWの実用化に向けた取り組みを進めている。2024年12月には、独立した第三者による検証を受けたERW由来のCO₂除去クレジットの供給を開始した。また、風化反応によるCO₂除去量を定量化するため、測定・報告・検証(MRV)に関する体制の整備にも取り組んでいる。さらに、同社は長期オフテイク契約の締結やカーボン・デリバリー保険の活用など、事業基盤と信頼性の強化も図っている。
出光興産は、こうした実績や技術・運用面での知見を評価し、InPlanet社をERW分野における有望な協業先と位置付けている。今回の融資を通じてInPlanet社の事業拡大を支援するとともに、同社との連携を通じてERWに関する知見を蓄積していく。これらの取り組みを通じて、ERW事業の拡大とCDR市場の発展に貢献することを目指す。今後もInPlanet社との戦略的対話を継続し、事業モデルの高度化や対象地域の拡大など、中長期的な事業連携に向けた協議を進めていく。
IAHの阿部正憲社長は次のようにコメントしている。
「InPlanet社によるブラジルでの取り組みは、科学的な厳密性と現場での実践経験を兼ね備えており、耐久性の高いCDRを実証段階から本格展開へと進める上で重要な意義を持つものです。今回の融資は、耐久性の高いCDRへの理解を深め、その発展を支援する当社の取り組みにおける重要な一歩です。今後もInPlanet社との連携と知見の共有を通じ、CDR市場全体の発展に貢献していきます」
※2 耐久性の高いCDR:大気中のCO₂を除去し、長期間にわたり大気へ戻らない形で安定的に貯留する炭素除去手法。代表的な技術として、ERW、バイオ炭、DACCS(直接空気からCO₂を分離・回収し、地中などに貯留する技術)、BECCS(バイオマスを利用したエネルギー生成時にCO₂を回収・貯留する技術)などが挙げられる。
■InPlanet社について
InPlanet社は、耐久性の高いCO₂除去と環境再生型農業の実現に向け、ERWの普及に取り組むアグリテック企業。細かく粉砕したケイ酸塩岩を熱帯地域の土壌に散布し、自然の風化プロセスを促進することで、CO₂除去に加え、土壌環境の改善、作物の生産性向上、農業資材への依存度低減への貢献を目指している。2022年の設立以来、ブラジルとドイツで事業を展開しており、社員の70%以上がブラジルに在籍している。2024年12月には、独立した第三者による検証を受けたERW由来のCO₂除去クレジットを供給し、同クレジットは発行後にBeZero Carbon社から「A」の格付けを取得。さらに、InPlanet社はCO₂除去クレジットの長期オフテイク契約を締結しているほか、CFC社によるカーボン・デリバリー保険の対象となっている。こうした販売・保証体制の構築は、同社のCO₂除去クレジット事業の信頼性向上につながっている。
URL:https://www.inplanet.earth


