【リサイクル】東レ、PPS含有廃材からPPSを分離・回収する新技術開発
東レは、業界初※1となるポリフェニレンサルファイド(PPS)を含む廃材から、溶媒を用いてPPSを分離・回収する新たな溶媒マテリアルリサイクル技術(以下「本技術」)を開発した。本技術は、廃材に含まれるPPSをモノマーまで分解することなく、ポリマーのまま選択的に溶解・分離するもの。モノマーへの分解工程を必要としないため、従来のケミカルリサイクル※2と比較して、エネルギー消費の低減と効率的な異物除去が期待できる。

PPSは、優れた耐熱性や耐薬品性を有するスーパーエンジニアリングプラスチックであり、自動車部品や電気・電子部品を中心に需要が拡大している。一方で、使用済み製品からの回収・再資源化は異物の分離が難しく、リサイクル技術の確立が課題となっている。また、近年は欧州を中心とした資源循環関連規制の強化を背景に、自動車業界をはじめとする各産業分野において、使用済み製品・廃材を再利用するポストコンシューマーリサイクル(PCR)※3の重要性が高まっている。
PPSは、優れた耐薬品性を有するため、PPSを溶解できる溶媒はほとんど存在しないが、本技術では、東レが長年培ってきたPPSの製造技術に関する知見を活用することで、PPSを含む廃材からPPSを選択的に溶解・晶析し、ガラス繊維等の副原料を含む異物の分離・除去を実現した。これにより、廃材由来でありながら、バージンと同等の分子量および融点を維持したリサイクルPPSを回収できる。
さらに、東レの基礎検討における試算では、本技術を利用したリサイクルPPSはバージン原料を使用した当社PPSと比較して、原料製造から製品製造までのGHG排出量を約3割低減できる可能性を確認しており、現在進めている実証検討においても、その削減効果の検証を進めていく。
東レは、現在、基礎検討を完了し、経済産業省の「令和6年度 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(産官学連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業)」の支援を受け、スケールアップ実証を進めており、2030年を目途に有償販売を目指す。今後は、自動車業界やリサイクル業界をはじめとするパートナーとの連携を通じて、PPS含有廃材の回収からリサイクルPPSの再利用までをつなぐ資源循環システムの構築を目指す。
※1 業界初:PPS溶媒マテリアルリサイクル技術のベンチスケール実証として業界初(2026年9月現在、東レ調べ)。
※2 ケミカルリサイクル:プラスチックを化学的に分解し、原料として再利用するリサイクル手法。
※3 ポストコンシューマーリサイクル(PCR):消費者が使用した後に回収された製品や部材を原料として再利用するリサイクル。

