【評価技術】JFEテクノリサーチ、グリーン水素、電動化、次世代製造を支える技術情報公開

 JFEテクノリサーチは、電池・水素・モータ、材料・接合、医療機器、製造プロセス、シミュレーションなど、5分野にわたる15件の技術リーフレットを公開した。大型電池の複合サイクル腐食試験、水電解セルの過電圧分離、永久磁石の渦電流損評価、金属3D積層造形物の組織評価をはじめ、材料・部品・製品を対象とした測定、試験、解析事例を紹介している。研究開発、製品設計、製造工程の検討、品質評価などにおいて、対象や課題に応じた評価方法を検討するための技術情報として活用できる。

背景
 製品や材料の評価では、最終的な性能値だけでなく、その性能を支配する要因を個別に把握することが重要。今回のリーフレットでは、水電解セルの過電圧成分、永久磁石の渦電流損、モータ摺動時の発塵、材料中の介在物・析出物、樹脂表面の局所的な凹凸など、通常の外観観察や単一の測定値だけでは捉えにくい現象を対象としている。
 また、実際の使用環境や製造工程を考慮した評価も課題となる。大型電池では腐食試験中の異常発熱への対応、FRPでは層間剪断強さの速度依存性、ホースや容器では負圧または正負圧の繰り返し、急速加熱プロセスではガス雰囲気と加熱速度を組み合わせた試験が求められる。今回公開したリーフレットでは、こうした条件に対応する設備仕様、試験方法、解析例を紹介している。

今回公開した技術リーフレット
 今回の15件は、電池・水素・モータの性能評価から、材料内部の組織解析、機械的耐久性、製造プロセス、流動解析、表面欠陥の可視化までを対象としている。各資料では、評価対象、測定方法、対応条件または解析例を紹介している。
■電池・水素・モータ評価
大型電池などの発熱体に対応した複合サイクル腐食試験(CCT)
 大型電池などの発熱体を対象に、試料へ取り付けた熱電対で試験中の温度を監視する。異常発熱を検知すると試験を停止し、シャワー機構で冷却する。耐荷重は専用パレットを含め1500kgで、低温条件は-20℃まで対応。
 試験槽内寸法:W2000×D3000×H1900mm
 JASO M 609-91、JASO M 609-24、JIS C 60068-2-52、JIS K 5600-7-9などに対応
 国内自動車メーカーの独自サイクルにも対応。
水電解セルの過電圧分離測定技術
 水電解セルの過電圧解析により、セル性能律速要因を定量的に特定し、研究開発の加速に貢献する。
永久磁石の渦電流損評価
 希土類系焼結磁石はフェライト磁石に比べて電気抵抗が低いため、磁石に発生する磁束の変動により渦電流が生じやすくなる。その結果、渦電流によるジュール熱(渦電流損)が増加し、磁気特性が劣化(熱減磁)する可能性が高くなる。そのため回転機を設計する際には、永久磁石の渦電流損失を事前に把握しておくことが必要になる。分割焼結磁石やボンド磁石など、製品磁石の交流損失を評価する。
モータコアの表面抵抗測定
 モータコアのステータティース部など、幅が狭い箇所の表面抵抗を測定する。打ち抜き加工などによる絶縁被膜の欠損調査に利用でき、測定対象に応じて電極間距離を調整したプローブを準備する。PCBの素子端子などにも対応。
回転体(モータ等)の摺動における発塵測定
 モータなどの回転体が摺動する際に発生する摩耗粉の発塵量を測定する。クリーンルームを使わず、卓上で高洗浄度(クラス2以上)の環境を形成し、微小な発塵を測定する。露点管理、空気循環、長時間の連続測定にも対応。
■材料・接合・構造信頼性評価
FRPの層間せん断強さの速度依存性評価
 目違い切欠き引張法とデジタル画像相関法(DIC)を組み合わせることで、摩擦の影響を受けず、低速~高速域で純粋せん断に近い状態の層間剪断断強さを評価する。純粋剪断に近い状態の層間剪断強さの速度依存性を評価する。
薄板すみ肉溶接部の破面試験(ISO 9017)
 ISO 9017に基づくすみ肉溶接の破面試験を実施し、溶接部の欠陥評価に用いることできる。
負圧インパルス試験および正負圧インパルス試験
 負圧に対応した負圧インパルス試験または正負圧インパルス試験を行い、耐久性評価を行う。
■医療機器・微小部材の耐久性評価
髄核置換インプラントの圧縮試験、ねじり試験、圧縮剪断試験
 椎間板の髄核置換インプラントに対して、ASTM F2789、F2346を参考に、固定ブロックで挟み込んだインプラントを、プッシュロッド治具を介して負荷を与える機械的安全性試験を実施できる。室温大気中と37℃の生理学的溶液中で試験できる。
部材の超微小荷重繰返し載荷試験
 電子部品、箔、ゴム、細線などの微小部品に対して、10N~0.5Nレベルの超微小荷重範囲における繰返し載荷試験を実施できる。
■材料解析・製造プロセス評価
材質制御に欠かせない介在物・析出物のマクロ情報の可視化~粒径・組成・分布を一括解析~
 鋼材中の介在物や析出物は、製品品質や製造歩留まりに大きな影響を与える。同社は、SEM-EDX解析技術を用いて、広範囲領域に存在する微細粒子のサイズ、組成、分布を統計的に評価することにより、品質トラブルの原因究明、工程改善、材料開発をサポートする。
金属3D積層造形物のマルチスケール組織評価
 金属3D積層造形材の複雑な組織と特性の関係を解明するため、m~nmスケールを統合したマルチスケール組織評価サービスを提供。空孔・溶融不良などの欠陥から、粒構造・結晶方位(集合組織)・転位・析出物などの微細組織までを一貫評価し、強度・疲労特性・耐食性との相関を可視化することで、特性発現および変化要因の解明を支援する。
炉内投入法(直接挿入法)による急速加熱
 実機の高温プロセスでは、効率的な運転を目的として、高温状態の反応器に連続的にサンプルを投入する方法がとられてる。そのため、サンプルは急速に加熱される。本試験装置は、特殊なサンプル投入口を設けることにより、昇温した管状炉内にサンプルを直接投入することで急速加熱できる。また、サンプル投入口も含めガス雰囲気を制御する機構を有するため、空気雰囲気での燃焼試験や不活性ガス雰囲気における熱分解試験にも対応できる。これにより、実機に近い加熱条件における反応・分解・燃焼挙動を正確に評価できる。本試験では、製鉄プロセスで培った特殊ガス雰囲気の制御技術に加え、ガスの分析などにも対応できる。上記以外にも、様々な高温での熱処理試験が可能。
■シミュレーション・表面可視化
ケミカルフィルター内部の流動解析
 ケミカルフィルター内部での流速分布は、ケミカルフィルターの性能評価上重要なパラメータである通風速度、滞留時間、速度の均一性、圧力損失などに影響を及ぼす。フィルター内部の流速分布評価手法はいくつか提唱されているが、設計段階での予測手法としてはCFD(数値流体力学シミュレーション)の適用が一般的。同社はケミカルフィルターの形状やフィルター充填物の状態・充填状況から内部の流速分布を評価・可視化することにより、効率的な開発を支援する。
面歪測定装置SurfTRiDYによる樹脂製品の表面欠陥検出
 樹脂製品に対する次のような外観トラブルを可視化・定量化する。
 ・樹脂成形品のヒケ・ウェルドライン等の成形不具合
 ・樹脂フィルムのスジ・圧痕等の表面欠陥

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