【レーザダイオード】浜松ホトニクス、世界最高クラスとなる2.0kWを出力するLDバーの開発に成功
浜松ホトニクスは、これまで培ってきたレーザダイオード (LD)の高出力化技術と新たな製造技術の採用により、幅1cmのLDバーから室温で2.0kWと世界最高クラスの擬似連続波※1を出力することに成功した。この成果により、産業用レーザ加工装置や固体レーザの励起光源などのパワーレーザの応用に加え、将来的には高エネルギー光源を必要とする先端分野への展開も期待される。
今回の成果は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「NEDO先導研究プログラム/フロンティア育成事業」の委託を受けて実施したものであり、2026年6月14日からフィンランド共和国タンペレ市で開催される国際会議「The 30th International Semiconductor Laser Conference 2026」の「Workshop session 1: Advances in Semiconductor Laser Industry」にて発表予定。
※1 擬似連続波:光を短時間ずつ断続的に出力する動作を高速で繰り返す発光方式で、連続発光とパルス発光の中間的な特徴を持つ。


概要
LDバーとは、複数のLD構造を並べて作り込んだ発光素子であり、このLDバーを積層したLDバースタックとともにレーザ加工などの産業用途に使用されている。特に、大出力固体レーザの励起には多数のLDバーが用いられていることから、LDバー単体の高出力化が強く求められている。また、高出力LDは、レーザシステムの小型化・高効率化のほか、高エネルギー光源を必要とする先端分野製品における製造プロセスの高度化や宇宙、先端科学分野での新たな応用拡大にも寄与することが期待されている。
浜松ホトニクスはこれまで、LDの結晶構造やデバイス構造、結晶成長技術や組立技術を工夫し、LDバーの高出力化に取り組んできた。これに加え2025年度「NEDO先導研究プログラム/フロンティア育成事業」の委託研究において、LD端面での劣化を抑制する端面処理技術への取り組みを進め、今回、幅1cmのシングルジャンクション型※2LDバーの室温での擬似連続波動作で、ピーク出力2.0kWを達成した。これは、浜松ホトニクスが把握する限り、2022年にドイツの研究機関が達成した室温動作における1.9kWを上回る世界最高記録となる。
今後は、今回の成果を応用し、さらなる高出力化のためのマルチジャンクション型※3LDバーの研究開発を加速していく。
※2 シングルジャンクション型:発光の中心となる半導体の接合部が1つの構造。
※3 マルチジャンクション型:発光の中心となる半導体の接合部を複数重ねた構造で、光の出力を高めることができる。
<測定条件>
幅:1cm LDバー
構造:シングルジャンクション型
波長:約940nm
動作:擬似連続波 (QCW)
パルス:200μs / 10Hz
温度:冷却水温度18 ℃ (室温)
NEDO先導研究プログラム/フロンティア育成事業
フロンティア育成事業では、将来の産業開拓において非常に重要な分野でありながら民間企業単独ではリスクが高く取り組むことが困難とされる研究領域をフロンティア領域と定めている。そのフロンティア領域の研究開発に挑戦する事業者に対して、NEDOが「NEDO先導研究プログラム/フロンティア育成事業」の中で極限マテリアル(パワーレーザー)に関する研究開発を浜松ホトニクスに委託している。今回の成果は、当該事業の中で得られた成果となる。この研究によりLDの極限的な高出力化を目指し、2040年のパワーレーザによる新産業の開拓を目指すと共に、その過程でも新たな応用を開拓し早期の製品化を目指す。



