【Nearly ZEB】NEDOとSEDA、マレーシア・サイバージャヤでの実証事業開始。既存建物改修での達成目指すマレーシア初の取り組み
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とSustainable Energy Development Authority Malaysia(SEDA)は、マレーシア・サイバージャヤに所在するSEDA本部庁舎を対象に、既存事務所ビルのZEB化を目指す実証事業を開始する。既存建物の改修によるZEB化はマレーシア初の取り組み。パシフィックコンサルタンツ、AGC、三菱電機、アズビルの日本企業4社が持つ省エネルギー技術とノウハウを組み合わせ、一次エネルギー消費量を75%以上削減する「Nearly ZEB」の達成を目指す。この事業を通じて、マレーシアの建築分野における脱炭素化を推進するとともに、ASEAN地域への展開を見据えた先導的なモデルケースの確立を目指す。

背景
マレーシアでは、建築セクターの脱炭素化が重要な政策課題となる一方、既存建物の改修によるZEB※1化はまだ本格的に広がっていない。ストックが多い既存建物は特に省エネルギー化のポテンシャルが大きい一方で、改修条件やコスト面などの制約が多く、先行事例の不足が普及の壁となっている。このような背景の下、NEDO、SEDA※2およびパシフィックコンサルタンツ、AGC、三菱電機、アズビルの日本企業4社は、サイバージャヤ※3にあるSEDA本部庁舎(築21年、延べ床面積約5000m2)を対象に、マレーシア初となる既存建物改修型の「Nearly ZEB」の実証事業を開始する。この取り組みを通じて、マレーシアにおける既存建物のZEB化を促進するとともに、ASEAN地域への展開を見据えた先導モデルの確立を目指す。
実証の概要
(1)実証方法
事業※4では、ISO/TS 23764に基づく方法論のもと、建物外皮の断熱・気密性能を高める高性能建材や、省エネルギー・高効率設備機器を導入する。あわせて、BEMS(ビルエネルギー管理システム)によりエネルギー使用状況を可視化し、設備運転を最適化することで、建物全体の消費エネルギーを大幅に削減する。さらに、建材一体型太陽光発電パネル(BIPV)などの再生可能エネルギーを組み合わせ、エネルギーの自立度を高める。これにより、一次エネルギー消費量※5を75%以上削減する「Nearly ZEB」の達成を目指すとともに、ISO/TS 23764に基づく方法論と既存建物改修による脱炭素化モデルとしての有効性を検証する。

(2)各社の役割
持続可能エネルギー導入を推進するマレーシアの主導機関として、SEDAはマレーシアでの事業実施、モニタリングおよび普及において中心的な役割を果たす。
日本企業4社は、マレーシアにおける日本の省エネルギー技術を示す先行事例として、NEDOとともに下記の取り組みを実施する。
■パシフィックコンサルタンツ
・屋根および外壁の断熱性能の向上、気密性能の改善
・自動ブラインド設置(タイマー制御による日射負荷の低減)
・高効率LED照明と、センシングによる運用適正化
・利用者の快適性申告の反映による空調システム運転効率の向上
・屋根置き太陽光発電パネルの導入
■AGC
・高性能Low-Eガラスによる外皮断熱と遮熱性能の向上
・建材一体型太陽光発電パネル(BIPV)の導入
■三菱電機
・省エネ効率の高いVRV方式と、センシングによる空調制御の高効率化、最適制御、運用最適化
・潜熱顕熱分離空調システムによる室温設定の緩和および外気量適正制御
■アズビル
・BEMS導入によるエネルギー消費量の見える化と分析、設備機器の最適運用への反映
今後の予定
今回の事業を通じて、ZEB改修により得られるデータを継続的に蓄積・分析し、各技術の有効性を検証する。
NEDOおよびSEDAは、今回の改修ZEBをモデルケースと位置づけ、マレーシアのみならず、ASEAN各国へ取り組みが波及していくことを目指す。これにより、地球温暖化対策への貢献と、エネルギー・環境関連産業の発展につなげていく。
※1 ZEB
Zero Energy Buildingの略で、ISO/TS 23764に基づく省エネルギー性能が極めて高いビル。
※2 SEDA
Sustainable Energy Development Authority Malaysiaの略で、マレーシアにおける持続可能なエネルギー開発と普及を推進する政府機関。
※3 サイバージャヤ
National Low Carbon Smart City Master Plan2021-2050に位置づけられる国家のスマートシティ開発エリア。
※4 事業
事業名:脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業/建築分野のカーボンニュートラルを実現するためのZEBの実証事業
事業期間:2025年度~2028年度
事業概要:脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業の概要
※5 一次エネルギー消費量
冷暖房や換気、給湯、照明など設備機器の消費エネルギーを熱量換算した値のこと。


