【熱硬化性樹脂積層板】住友ベークライト、絶縁部品用途に貢献する高耐トラッキング性を有するプリプレグ・積層板を開発

 住友ベークライトは、ジアリルフタレート (DAP) 樹脂を用いて耐トラッキング性および絶縁性に優れたプリプレグ・積層板を開発した。耐トラッキング性900V、高い絶縁破壊強度と絶縁信頼性、ガラスクロスとの複合材料による高強度、熱硬化性樹脂による耐熱性を有し、xEVや産業用電源装置、電子機器等の高電圧で使用される絶縁部品や絶縁構造部材等の用途に貢献する。

開発の背景

 同社は、フェノール樹脂積層板やエポキシ樹脂積層板を市場に提供してきました。これらで培った同社の配合技術を活かし、上記以外の新素材や高付加価値商品の開発にも積極的に取り組んでいる。

 世の中の高電圧化の流れに対応するために、熱硬化性樹脂であるジアリルフタレート (DAP) 樹脂を用いて高絶縁、高耐トラッキング性、耐熱性を有し、さらにガラスクロスと複合させた積層板ならではの特徴である高い強度を合わせもつ材料を開発した。

開発品の特長

 開発品は耐トラッキング性の規格であるUL2597のSTT試験※1 において耐トラッキング性900Vの性能が確認されました (以下、表1参照)。また絶縁破壊電圧や熱時含め高弾性率の特性を有しており、耐トラッキング性に加えて高い絶縁性、耐熱性、高強度も実現した。

表1: UL2597 STT試験結果

項目単位・条件高絶縁・高耐トラッキング積層板
耐トラッキング性V, UL2597 STT900
耐燃性UL94準拠
当社内にて試験
V-0相当 (0.8mm厚み)
絶縁層比重-2.1
絶縁破壊電圧kV/mm40
曲げ弾性率GPa23 (25℃)、14 (175℃)

 加えて、高電圧環境下においても優れた絶縁性と耐久性を持つことから、絶縁材料の薄型化※2 や導体間距離の短縮※3 を可能にし、電気部品の小型化・薄型化・高効率化に貢献する (グラフ1)。
 さらに、本開発品は大面積 (1m角) に対応しており、従来の成形材料では対応が困難であったサイズにも適用可能。

※1 従来の耐トラッキング試験規格であるIEC 60112に基づくCTI (Comparative Tracking Index Test) では試験電圧の上限が600Vであったが、部材の電気的特性に対する要求の高まりを受け、UL Standards & Engagementが策定した新規規格UL 2597に基づくSTT (Surface Tracking Test) では最大900Vまでの試験が可能となった。
※2 絶縁性の低い材料は十分な絶縁性を確保するために厚みが必要がある一方、絶縁性の高い材料は薄型化が可能となる。
※3 耐トラッキング性 (耐久性) の低い材料は、導体間の距離を短くすると導通やショートが発生する恐れがあるが、耐トラッキング性に優れた材料を使用することで導体間距離を短縮しても絶縁性の確保が可能となる。

グラフ1: 層間絶縁信頼性試験結果(印加電圧:4kV, 試験条件:85℃/85%)

今後の計画

 今後はサンプル供試を進めるとともに、同社が展開する他の高耐トラッキング製品 (成形材料、粉体塗料) との連携を図り、お客様の使用形態やニーズに応じた提案を行っていく。

高耐トラッキング製品 ラインナップ

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