【使用済み紙おむつ】住友精化、吸水性樹脂リサイクル技術のパイロット設備稼働
住友精化は、2024年10月17日付で公表した、使用済み紙おむつに含まれる吸水性樹脂(SAP)のケミカルリサイクル技術のパイロット設備が、このたび姫路工場(兵庫県姫路市)内に完成し、稼働を開始したことを明らかにした。

日本では、高齢化の進行に伴い紙おむつの消費量が増加しており、一般廃棄物に占める使用済み紙おむつの割合は、2030年度頃には推計で約7%に達する見込み※1。現在、使用済み紙おむつの多くは焼却処分されているが、焼却処理量の削減や資源循環の促進に向けて、素材ごとのリサイクルが進められている。しかし、使用済み紙おむつから分離したSAPを再び紙おむつに活用する「水平リサイクル」が実現しておらず、住友精化は同技術の開発に取り組んできた。



稼働したパイロット設備は、同技術による工業的製造法を確立することを目的としている。具体的には、再生SAPの品質および安全性の評価、再生プロセスの確立、ならびにCO2排出削減効果の実証を進め、2026年度中を目途に完了することを目指す※2。
また、同技術における環境負荷の第三者評価として、早稲田大学 伊坪徳宏研究室(早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科)が、同パイロット設備で収集したデータに基づくライフサイクルアセスメント(LCA)を実施する。
住友精化は、同技術を2030年度に社会実装することを目指している。同パイロット設備の活用による工業的製造法の確立と並行して、資材分離などを担うパートナー企業や地方自治体などの関係者との連携を通じて、使用済み紙おむつのリサイクルシステムの構築に取り組んでいく。
※1 環境省のウェブサイトを参照。
※2 この実証事業は、環境省の「令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)」に採択されている。
<参考>住友精化が取り組むSAPのケミカルリサイクル技術(下記2~4)のイメージ

2.使用済み紙おむつから分離したSAPを、化学的に架橋点のみを「分解」する技術
SAPのエステル結合(架橋)を加水分解により切断し、中間体であるポリアクリル酸に戻す。
3.分解後のSAPとそれ以外の不純物とを、「分離・精製」する技術
分解されたSAPを水に溶かして精製し、ポリアクリル酸のみを固体として析出させる。
4.精製後のポリアクリル酸を、化学的に架橋点のみ「再結合」する技術
析出されたポリアクリル酸を再度架橋し、SAPに再生。
住友精化が実施した実験において、この再生SAPの保水性や加圧下での吸水性などの性能は、同社が製造・販売している紙おむつ用SAPと同等であることを確認している。

