【半導体】Orbrayとエレメントシックス、単結晶ダイヤモンドウェハで世界最大級の成果を達成。3インチ結晶の生産技術確立、4インチ結晶の開発に着手、2インチウェハは量産準備の最終段階へ
Orbrayとエレメントシックスは、直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立した。さらに、既存の半導体製造ラインで求められる4インチ結晶の開発にも着手。また、直径2インチ単結晶ダイヤモンドウェハ※1については、エレメントシックスの米国オレゴン州グレシャムの工場において量産準備の最終段階に入っている。
3インチや4インチの大口径ウェハはダイヤモンド半導体デバイスの量産性向上に寄与することが期待される。エレメントシックスとの戦略的提携の下、大口径化、高品質化、低コスト化を同時に進め、次世代半導体材料としての実用化を目指す。

背景
半導体を巡る国際競争が激化する中、次世代半導体の開発と供給体制の確立は、各国にとって重要な課題となっている。その中で、ワイドバンドギャップ半導体※2ウェハの量産技術は実用化の鍵を握っている。中でも単結晶ダイヤモンドは、究極の半導体材料として世界的に注目されている。
Orbrayは、2021年9月に独自のステップフロー成長※3法を用いて直径2インチの単結晶ダイヤモンドウェハ(商品名:KENZAN DiamondTM)を開発したことをプレスリリースした。
2024年6月、大口径単結晶ダイヤモンドウェハの製造技術を持つOrbrayと、高品質ダイヤモンドウェハの量産技術と量産設備を持つエレメントシックスは、必要な知的財産をクロスライセンスし、ダイヤモンド製造技術を高度化するための戦略的提携を結んだ。今回の発表内容はこの共同開発の記念すべき最初の成果。
成果1. 直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術確立
ステップフロー成長技術をさらに発展させ、世界最大級となる直径3インチ(76.2mm)の単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立した。
大口径化により、1枚のウェハから取得できるチップ数の増加が見込まれ、ダイヤモンド半導体デバイスの量産コスト低減に寄与することが期待される。
現在研磨技術の開発を進めており、製品化に向けた準備を進めている。
成果2. 直径4インチ単結晶ダイヤモンド結晶の開発着手
ダイヤモンド半導体の実用化に向けたターニングポイントとなる直径4インチ(100mm)の単結晶ダイヤモンド結晶の開発に着手。
4インチ化が実現すれば、既存の半導体製造ラインへの適用が可能となり、ダイヤモンド半導体デバイスの社会実装の加速が期待される。
成果3. 直径2インチ単結晶ダイヤモンドウェハの量産準備、最終段階へ
直径2インチ(50.8mm)単結晶ダイヤモンドウェハについて、エレメントシックスの米国オレゴン州グレシャムの工場において量産準備の最終段階に入った。
デバイスメーカーや研究機関による試作・評価、また熱対策用途への供給に向け、製品化を急ピッチで進めている。
今後の展開
Orbrayはエレメントシックスとの共同開発を継続しながら、単結晶ダイヤモンドウェハの大口径化・高品質化・低コスト化を同時進行し、ダイヤモンド半導体の実用化に貢献していく。
※1 単結晶ダイヤモンドウェハ
半導体デバイスや量子デバイスの基板として用いられる、結晶全域の原子配列に境目が無く単一の結晶になっているダイヤモンドウェハ。ダイヤモンドは熱伝導、絶縁破壊電圧、キャリア移動度、耐放射線性などに優れ、次世代半導体材料として期待されている。
※2 ワイドバンドギャップ半導体
シリコンよりもバンドギャップが大きい半導体材料の総称。高電圧・高温・高周波特性に優れ、電力損失の低減や装置の小型化に寄与することから、次世代半導体材料として注目されている。代表例としてSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、ダイヤモンドなどが挙げられる。
※3 ステップフロー成長
基板面を結晶面方位から数度傾斜させることにより、表面に原子ステップを等間隔に生じさせ、ダイヤモンド結晶がステップの横方向への流れに沿って成長するメカニズム。これにより膜の応力が緩和し、高品質かつ大口径のダイヤモンドウェハの作製が可能となる。


