【AWARD】セイコーエプソン、「小型で低コストな圧電方式インクジェットプリントヘッド構造の発明」で令和8年度全国発明表彰「WIPO賞」受賞
セイコーエプソン(以下 エプソン)は、このたび令和8年度全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、『小型で低コストな圧電方式インクジェットプリントヘッド構造の発明(特許第5958568号)』が「WIPO賞」※1を受賞したことを明らかにした。
同社にとって同賞の受賞は今回が初。また、全国発明表彰における同社の受賞は、令和元年以降で令和6年度「日本弁理士会会長賞」の受賞以来2年ぶり5回目となる。
表彰式は、2026年6月15日にThe Okura Tokyo(東京都港区)にて開催された。
全国発明表彰※2は、日本における優れた発明・意匠を完成した者、並びに発明の実施および奨励に関し、功績のあった方々を顕彰することにより、発明の奨励・育成を図り、我が国の科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としている。今回受賞した「WIPO賞」は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を上げている発明などを対象とする第1表彰区分において、特に優秀と認められたものに贈られる特別賞。
全国発明表彰において「インクジェットプリンター」関連の発明が特別賞を受賞したのは、令和4年度に同社が「インクジェット双方向印刷における印刷ムラ低減法の発明」で「文部科学大臣賞」を受賞して以来4年ぶり。
※1 WIPO賞
世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)の後援により 令和5年度に新設された、全国発明表彰の特別賞。優れた発明・意匠に対して授与される。
※2 全国発明表彰
大正8年(1919年)の第1回帝国発明表彰に始まり、文部科学省、経済産業省、特許庁、世界知的所有権機関、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、朝日新聞社の後援により開催。
受賞および受賞者は次の通り。
・受 賞 名:WIPO賞
・発明名称:小型で低コストな圧電方式インクジェットプリントヘッド構造の発明
・登録番号:特許第5958568号
・受 賞 者:
<WIPO賞>
平井栄樹 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS開発設計部部長)
矢崎士郎 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS品質保証部)
髙部本規 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS開発設計部)
加藤治郎 氏(セイコーエプソン AI開発・分析技術センター部長)
清水稔弘 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS開発設計部)
上條隆弘 氏(セイコーエプソン 執行役員 IJS事業部 副事業部長)
鳥本達朗 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS開発設計部)
小島 力 氏(セイコーエプソン IJS事業部 IJS開発設計部)
角 浩二 氏(元セイコーエプソン)
伊藤 浩 氏(元セイコーエプソン)
<発明実施功績賞>
吉田潤吉 氏(セイコーエプソン 代表取締役社長)
発明の概要
インクジェットプリントヘッドにおいて、圧電素子の変位によりインクを吐出するアクチュエーターを必要最小限の膜数で構成することで、小型・低コスト化を実現したもの。従来のインクジェットプリントヘッドは、アクチュエーターの層間絶縁膜や保護膜が圧電素子の変位を抑制するため、十分な吐出量を得るためには、大型化や高コスト化が避けられなかった。
これに対し本発明では、薄膜ピエゾからなる圧電体層および電極構造に機能を集約することで、層間絶縁膜や保護膜を不要とし、構成の簡素化と膜数削減を実現した。圧電素子の変位量が増大したことで、アクチュエーターの小型化が可能になり、インクジェットヘッド全体の小型・低コスト化を達成した。
さらに、応力集中が生じる箇所については、電極配置の最適化や配線構造の工夫により局所剛性を向上させることで、クラックの発生を抑制し、高い信頼性を確保している。
本発明は、エプソンのPrecisionCoreマイクロTFPプリントヘッドに利用され、エプソンブランドのオフィスおよび商業・産業向けの各種インクジェットプリンターに搭載されている。これらのプリンターは、日本国内にとどまらず世界各地で使用されており、高精細で安定した印刷性能の提供に加え、従来方式からインクジェット印刷への置換を促進し、省電力化や廃棄物削減を通じた環境負荷低減にも貢献している。
エプソンは本プリントヘッドを国内外の多くの商業・産業向けプリンターメーカーに外販もしており、他社製品にも採用されることで、高精細な印刷技術を通じて社会の多様なニーズに応える。さらに半導体製造プロセスなどの新たな応用分野への採用検討も進んでいる。今後もエプソンは独自のインクジェット技術を通じて、産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献していく。




