【宇宙用CIGS太陽電池】出光興産、JAXA「宇宙戦略基金」の補助金交付決定。量産技術開発を加速

 出光興産が、宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan Aerospace Exploration Agency)の運営する「宇宙戦略基金※1」において、公募テーマ「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」に提案した「宇宙用CIGS※2太陽電池の高効率化および量産技術開発」が採択され、このたび補助金交付が正式に決定した。
 「宇宙用CIGS太陽電池の高効率化および量産技術開発」事業では、最大30億円※3の補助金を活用し、宇宙用CIGS太陽電池の実証および量産化に向けた技術開発を進める。なお、2026年6月10日には、技術開発計画の確認などを目的としたキックオフミーティングをJAXAと共同で開催した。
※1 宇宙戦略基金:日本の宇宙分野における民間企業や大学などの技術開発・事業化を中長期・継続的に支援するためJAXAに設立された基金。
※2 CIGS:Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)の頭文字から成る化合物半導体。
※3 支援上限額。今後のステージゲート審査等により変動する可能性あり。

 出光興産の中期経営計画(2026-2030年度)では、電化・電動化/ICT融合領域を成長分野の一つとして位置付け、その発展のカギとなるマテリアル・ソリューションの展開を進めている。具体的には、有機EL材料や省電力・高速応答を実現する次世代ディスプレー材料、データセンター向けのサーバー冷却油、高速通信を実現する光電変換材料、長寿命・高出力・高い安全性が期待される全固体リチウムイオン二次電池用の固体電解質などの研究開発および事業化に取り組んでいる。

 この取り組みの一環として、同当社は宇宙産業への事業展開を目指している。IoTデバイスやコネクテッドモビリティの普及に伴い、通信ネットワークの整備が急速に進み、常時接続型の社会が到来しつつある。こうした社会を支える人工衛星をはじめとする宇宙インフラの重要性は、今後さらに高まると見込まれている。宇宙インフラを支える基盤技術の一つが、人工衛星に電力を供給する太陽電池。同社は、これまで培ってきた材料技術と薄膜技術(材料を極めて薄い層として形成する製造技術)を活かし、宇宙用CIGS太陽電池の開発を進めている。

 「宇宙用CIGS太陽電池の高効率化および量産技術開発」事業では、宇宙戦略基金の補助金を活用し、以下の技術開発を段階的に進める。
1.宇宙用途に適した軽量かつ高効率なCIGS太陽電池セルの開発およびプロセス技術の開発。
2.上記で開発するプロセス技術を基盤としたベンチプラントの構築および立ち上げ(設置場所:出光興産次世代技術研究所(所在地:千葉県袖ケ浦市)内の研究開発拠点、稼働開始予定:2027年)。
3. 上記ベンチプラントによる連続生産の実証。
 今後は市場環境や技術開発の状況を踏まえ、本格的な量産設備の立ち上げを検討し、宇宙用CIGS太陽電池の早期事業化を進める。宇宙用CIGS太陽電池の安定供給の実現を通じて、次世代通信インフラの発展や持続可能な宇宙開発に貢献する。

出光興産の宇宙用CIGS太陽電池
 既存の宇宙用太陽電池は、強い放射線による劣化や高コスト、レアメタルの大量使用、製造に時間を要するため生産量が限られるなどの課題がある。一方、出光興産が開発する宇宙用CIGS太陽電池は、高い放射線耐性による長寿命、レアメタルの使用量を抑えられる点に加えて、同社独自の製造技術を活用することで高い生産能力と価格競争力の実現が期待されている。

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