【溶解度パラメータ】レゾナックと関西大学、新規分析手法の共同研究を本格化

 レゾナックおよび関西大学は、樹脂混合、粒子分散状態などの制御で広く活用されている「ハンセン溶解度パラメータ(HSP)」を用いた材料設計の高度化に向け、2022年よりHSP新規分析手法の共同研究を推進している*1。このたび、共同研究拠点として、関西大学イノベーション創生センター*2内にレゾナックの実験室を設置した。

 レゾナックは、フィラーなどの粒子と樹脂・溶媒を組み合わせた機能性材料を数多く展開しており、その性能は材料同士の「相性」に大きく依存します。この相性を定量的に捉える指標としてHSPに着目し、社内での材料開発への活用やデータベースの構築を進めてきた。一方、関西大学には、HSP研究において豊富な実績を有する、環境都市工学部の山本秀樹特別任命教授(プロセスデザイン研究室)が在籍しており、材料設計への応用に関する知見を蓄積している。

 HSPは、物質の凝集エネルギー密度*3を表す指標であり、気体・液体・固体のすべての物質が固有の値を持つ。3次元でマッピングすることができ、材料同士のHSPの距離により、相溶性や分散性を定量的に評価できるため、「材料の相性」を数値として予測することが可能。こうした特徴から、HSPはデータベース化やデータ駆動型設計との親和性が高く、今後、AIやMI(マテリアル・インフォマティクス)を活用した材料開発にとって、ますます重要になると考えられている。

HSPのマッピングと相溶性・分散性の関係

 そのような中、従来のHSP分析手法は手作業工程が多く、測定対象材料に制約があることが課題であった。今回の共同研究では、高速化、自動化、多様な材料への適用を同時に実現する、新規分析手法の開発を目指す。この手法により、再現性が高い測定を、誰でも容易に実施できるようになるほか、気体・液体・固体、樹脂・無機材料など、様々な材料を同一プラットフォーム上で評価可能となることが期待される。

 今回、2026年5月より、関西大学イノベーション創生センター内に、共同研究拠点となるレゾナックの実験室を設置したことで、産学が同一拠点で研究を行う体制を構築した。今回の共同研究を通じ、両者は、HSPのさらなる活用と、HSPを含む、データに基づく材料設計・開発の高度化を進めていく。

関西大学 山本秀樹特別任命教授コメント

「HSPは材料同士の相溶性を科学的に捉える有力な指標ですが、その活用には測定方法や解析方法の高度化が欠かせません。本共同研究では、産学が同じ研究拠点で知見を融合し、新たな分析手法の開発を行います。当取り組みを通じて、実測データに基づく次世代型の材料設計・開発の実現に貢献したいと考えています」

レゾナック CTO福島正人氏コメント

「HSP新規分析手法の開発により、材料同士の相性評価の精度と再現性を高め、機能性材料、とりわけ半導体向け複合材料の設計高度化に貢献します。関西大学との連携により、HSPの適用範囲拡張と分析効率の向上を図り、当社独自技術の競争力強化と開発スピードの加速を実現していきます」

関西大学のイノベーション創生センター

*1本件に関する技術は特許出願済み
*2関西大学 イノベーション創生センター:教員・学生と企業・研究機関が自然科学系・人文科学系・社会科学系など研究分野の枠組みを超えて対話・交流できる本格的なイノベーション創出拠点として2016年9月に設立。企業を誘致し、産学官連携・共同研究を通して創造的かつ革新的な研究を社会に発信するとともに、大学発スタートアップ創出支援機能を有する。https://www.kansai-u.ac.jp/renkei/innovation/
*3凝集エネルギー密度(CED:Cohesive Energy Density):分子同士を引き離すのに必要なエネルギーを単位体積当たりで表したもの。

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