【マルチビーム積層造形】島津製作所、大阪大学接合科学研究所、DOWAパワーデバイスの3者、銅-窒化アルミニウム基板の実用化に成功
島津製作所は、大阪大学接合科学研究所およびDOWAホールディングスのグループ会社であるDOWAパワーデバイスとの共同研究により、マルチビーム積層造形法を利用した銅-窒化アルミニウム基板(Cu-AlN)の実用化に成功した。窒化アルミニウム(AlN)の基板に銅粉末と青色半導体レーザーを同時に射出することで、絶縁不良の原因となる銀を用いずに銅電極を直接コーティングできる、世界初の技術。パワー半導体デバイスに加え、光通信や通信衛星、AIサーバー、医療用レーザーなど幅広い分野での採用が期待される。
近年、高い性能を持つパワー半導体デバイスの開発が進み、デバイスが発する熱を効率的に制御する技術が求められている。銅と窒化アルミニウムを接合したCu-AlNは、優れた熱伝導性と絶縁性を併せ持つ材料として、主にパワー半導体デバイスの放熱用絶縁体に利用されている。従来の接合方法では銀を含むろう材を用いた高温接合が一般的であり、製造時間の長さや残留応力※1、銀マイグレーション※2による絶縁信頼性への影響が課題となっていた。

従来の接合方法である活性金属ろう付け法(左)と比べ、
ろう材を用いずに銅を直接接合できる
3者は2022年11月から共同研究を行っており、島津製作所は青色半導体レーザーを用いた銅コーティング装置および加工プロセスの開発を担当。同社らの研究成果であるマルチビーム積層造形法は、任意形状の銅回路とセラミックスを、強固かつ低残留応力で銀を用いずに接合することができる。青色半導体レーザーは金属に対する光吸収効率が高く、純銅材の加工に適している。高い放熱性能に加え、従来の基板と比べてヒートサイクル耐久性※3が3倍以上向上した。また、3D造形技術を活用することで、細線パターンや複雑な回路形状も形成できる。パワー半導体デバイスに加え、高密度配線や小型化が求められる光通信機器やAIサーバーなど、様々な分野における利用検証を進めていく。
※1 接合や加工の後に材料内部に残る力。残留応力が大きいと、基板の変形や亀裂、接合部の剥離などの原因となる。
※2 高温・高湿度または高電圧環境下で銀が移動し、意図しない導通経路が形成される現象。電子部品や基板の絶縁信頼性を低下させる要因となる。
※3 低温と高温を繰り返し与えた際に、基板や接合部が劣化せず耐えられる性能。パワーモジュール放熱基板の長期信頼性を評価する重要な指標である。

銅窒化アルミニウム接合基板(Cu-AlN)に仕上げる過程
