【持続可能な社会への変革】IGES、2025年度の5つの主要「インパクト形成」の取り組み発表

 地球環境戦略研究機関(IGES、アイジェス)は、持続可能な社会への変革を促す政策の策定・実施やステークホルダーの行動変化につながる「インパクト(影響力)」形成に重点を置いた研究活動を展開しているが、この度、2025年度(2025年7月~2026年6月)における5つの主要なインパクト形成の取り組みを発表した。
1.「パリ協定6条に沿った質の高い炭素市場の構築を支援」(2025年度IGES理事長賞※1受賞)
 IGESが事務局を務める「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター」※2の支援により、7カ国(日本、モルディブ、モンゴル、パラオ、スリランカ、タイ、チュニジア)がパリ協定6条の活用に当たって必要となる初期報告書(Initial Report)を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に提出しました。そのうち4カ国(モルディブ、モンゴル、パラオ、タイ)については、パリ協定に沿ったクレジット(ITMOs:国際的に移転される緩和成果)が発行※3され、ベトナムではパリ協定6条活用のための国内枠組みが整備された。
詳細:https://a6partnership.org/
2.「アジア太平洋地域におけるシナジーの実装を推進」(2025年度IGES理事長賞受賞)
 地球規模の3つの危機(気候変動・生物多様性の損失・汚染)とSDGsへの相乗的な取り組みに関する地域の実践事例・提言をまとめた報告書「アジア太平洋シナジーレポート」(“Asia-Pacific Synergies Report: Advancing Synergistic Solutions to the Triple Planetary Crisis and the SDGs”)が2026年6月に公表された。このレポートは、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、国連環境計画(UNEP)およびアジア開発銀行(ADB)が発行主体となり、環境省の支援を受けて作成された。IGESは事務局として作成プロセス全般を支援したほか、武内和彦理事長が共同リード(Co-lead)として執筆を主導し、多くの研究員が執筆に参画した。同レポートを基盤に、2026年7月のUNESCAP閣僚級会合で「シナジー推進に関する地域行動プログラム」が採択され、シナジーの実装に向けた地域レベルでの取り組みが始まっている。
詳細:https://www.iges.or.jp/jp/news/20260714
3.「企業・自治体の脱炭素化を支援」
 パリ協定の1.5℃目標達成に向けた社会の変化と好機を示す「1.5℃ロードマップ」プロジェクトを実施し、企業や自治体の脱炭素化を支援。リコーの新たなESG戦略策定、青森県むつ市の地域GX推進、Jリーグの地域と共生する再生可能エネルギー活用に関する活動指針改定などに向けた機運醸成の一助となった。
4.「市民・科学・政策の連携による持続可能な地域づくりを推進」
 IGESが企画・運営した気候市民会議での提言が「杉並区みどりの基本計画」(東京都)に取り入れられたほか、神奈川県藤沢市での気候市民会議を通じて地域政策提言を共同策定。また、行動科学を応用した研究成果をもとに、東南アジア全体で使い捨てプラスチック使用削減に向けた政策を推進する「ASEAN行動変容ラボ」を、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)海洋プラスチックごみに関する地域ナレッジセンター(RKC-MPD)、Rare行動・環境センター(Center for Behavior & the Environment)、世界自然保護基金プラスチックスマートシティーズ(WWF Plastic Smart Cities)、ドイツ国際協力公社(GIZ)と立ち上げた。
5.「IGESの提言が東京都板橋区の将来計画に反映」
 IGESが策定を支援した東京都板橋区の新たな基本構想および環境基本計画(2026~2035)にIGESの提言が反映された。「ウェルビーイング」を共通目標に掲げ、部署横断的に連携して取り組む原則が盛り込まれたほか、複数のSDGs目標に同時に取り組むシナジー・アプローチが組み込まれた。
※1 IGESの最も優れたインパクト形成の取り組みを毎年2件表彰
※2 2023年G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合において各国の歓迎を受けて環境省が設立。パリ協定6条に沿った質の高い炭素市場の構築に向けて、各国政府・事業者の体制整備や能力構築を促進
※3 モルディブ、モンゴル、パラオについては初の発行

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